さてアルバイト経験すらない中で台湾でラーメン起業した出口裕介さん、29歳。ラーメン屋のアルバイト経験もなく、中国語もしゃべれず、おまけに海外経験もたった2泊3日の台湾旅行だけ。
しかし自らインターネットで調べまくり、ひたすら行動して、未経験の中から台湾でラーメン起業してきました。だが設備トラブルからラーメン屋をトンカツ屋に変えて、倒産の危機にも直面しました。
そしてようやくラーメン屋として戻り、再スタートを切っています。そしてド素人から台湾でラーメン起業した出口裕介さんは、台湾で台湾人の彼女と出会います。
今回の完結編では台湾人の彼女との出会いのキッカケと、国際結婚に至るまでの道のり。そしてこの先の見えない21世紀という時代で、20代のぼくら若者が目指すべき新しい生き方とはなんなのか?
出口裕介さんと台湾人の彼女のボニー・パオさんに話を伺ってきました。
ではどうぞ。
出口さん ラーメンがキッカケで台湾人の彼女と出会う
ーーではここからは出口さんと一緒に、台湾人の彼女のボニーにも話を伺っていきたいと思います。ではまずこの会話は日本語で行われているんですが、ボニーから自己紹介をお願いします。
ボニー:名前はボニー・パオ。28歳です。出身は台湾の台南市です。
ーー出口さんもこちらのボニーとどこで出会ったんですか?
出口:日台交流会です。日本人探している台湾人、台湾人を探している日本人をマッチングさせるイベントなんですけど、そこで出会いました。
ーーなぜ日台交流会に行こうと思ったんですか?
日台交流会に参加したのはラーメン屋もできて、3ヶ月くらいした2014年12月だったんですよ。ちょっと自分もラーメン屋に慣れてきて、余裕もできたんで遊びたいなぁと思ったんで、一緒に働いていた日本人の後輩を誘って遊びにいったのがキッカケです。
ーーボニーのキッカケは?
私のキッカケは元カレと別れたからです。で、その時に私があんまり友達いないから友達作ろうと思って、私の友達と行きました。
ーーなるほど、出口さんが台湾人の彼女ができたキッカケはラーメンだったと聞いてるんですけど。
出口:元々ぼくがそのイベントに参加したのは、その時が3回目だったんですね。前の2回は日本語が話せる台湾人のアルバイトを探しにいっていたんですけど、
3回目の時に日本人の友達がこの子たちをナンパして、ぼくに引き合わせてくれたんです
「出口くん!このボニーっていう台湾人の女の子、台湾でラーメン屋の事務をやってるんだって」って。
もうビックリして、「仕入れ先の情報を教えてください!」とか「そこのラーメン屋さんの原価は何%なんですか?」、「客単価や売上はいくらですか?」と彼女に質問しまくりましたね。
ーーそれ、口説くっていうよりも仕事の話ですよね(笑)
ボニー:うん、だってLINE来たときも、仕事の話ばっかりだった。
ーーその仕事の内容ばっかりのLINEを見て、ボニーはどう思いました?
いや、いいんじゃない!って。その時に下心見えなかったし、私も仕事の話をするのは好きだし、楽しいなって。
ーーへー!仕事の質問ばかりしたのに、ボニーは意外な反応ですね。
出口:いや、だって考えてみてください。海外でいきなりラーメン屋挑戦して、「はあ、ようやく立ち上がったなぁ」って思って、知り合った台湾人の女の子が、まさか台湾の日系ラーメン屋さんで事務をやっているんだなんて!?。もう質問、山ほどでてくるでしょう?(笑)
ボニー:でも私からしたらすごく怪しかった……。私は日台交流会行くのが初めてだったんすけど、まさか日台交流会にいってラーメン屋のラオパン (中国語でオーナーの意味)に出会うなんて……。
しかも私「武藤ラーメン」なんて聞いたことがなくて(笑)
出口:そう、全然有名じゃなくてね。その時は何もわかってなかったからラーメンの値段も安過ぎたし、ボニーとその台湾人の女友達からは「絶対潰れる」って言われてた(笑)
ーーめっちゃ失礼ですね!なんでも思ったことをストレートに言っちゃう台湾人らしいですけど(笑)
出口:その後は何回かデートして。いや仕事のミーティングかな?(笑)
ボニー:情報交換ね。
出口:いや、交換してない。一方的にオレがもらっているだけ(笑) ぼくからしたら台湾の労働基準法とか、調べなアカンことは山ほどあったんですよ。それを助けてもらいました……。
台湾人女性から見ると日本人男性はチャラい!?出口さん、チャラ男疑惑をもたれる
ーーでは告白はどういう感じだったんですか?
出口:何回かボニーと会って、オレが一時日本に用事があって帰国して、戻ってきた後にボニーに告白したんです。1月15日から交際スタートですね。
ーー告白の言葉はなんて言ったんですか?
出口:ボニーに「付き合ってください」ってストレートに言いました。
あ、でもその前に日本へ戻る前に告白したんだけど、「チャラ男は嫌だ!」って1回断られたんです(笑)
ボニーとマエハラ、爆笑する:「ハハハハハ!!!!!」
出口:ずっと日本人男性は信用ならんってって言われ続けてたんですよ。
ーーあ、台湾で日系企業に勤めている日本人男性は、女癖悪い人が多いらしいですからね。
ボニー:だって台湾で働いてる日本人男性は、みんな台湾で愛人作ってるんだもん。で、たまに日本から出張で来る日本人も、仕事終わったら台北のクラブ行くし。
他にも「ピーーー」さんも……。
出口:(めっちゃ慌てて)こら、ボニー、個人名を出すんじゃない!
ボニー:ハハハハ(笑)
出口:うん、まあ台湾の日系企業に勤めている台湾人女性に聞いてみると、日本人男性の評判はあまり良くないです。みんな遊んだり、クラブ行ったり、いろいろしてたね。
ーーだからボニーは台湾に働きにきている日本人をそんなイメージだと思ってたから、出口さんは1回振られたんですね。
出口:うん、初めは本当に「チャラい、チャラい」って言われてたもんね。
ボニー:そうだね♫ (ボニー、いったんトイレに行くために席を離れる)
台湾人の彼女に振り向いてもらえたのは、本当に出口さんが台湾で仕事に打ち込んでいたから
ーー(出口さんと2人きりになって) でもどうしてチャラいと思われていた出口さんとボニーと付き合えたと思いますか?
出口:ヘンな言い方だけど、それまで彼女を作る時に、別に内面を重視してなかったんです。失礼な言い方するとアクセサリー感覚で彼女を作っていたもんで、おべっかつかって、気を遣ってっていう接し方は日本人の彼女にはしてたんですよ。
ーーそれ、チャラいじゃないですか!(笑)
出口:あ、チャラいね、言われてみたら(笑) だからあたっとるんよね、ボニーのチャラいって言葉は。ただボニーだけは本当にすごかったんよ。語学的にまずスゴくて、さらにデザインもできて、あれだけラーメン屋の情報をもらって。外見もなかなか可愛いと。
だから自然と「ありがとう」って言葉を、たくさんボニーには伝えてられているんです。一緒にいても内面を見らていて、自然体でいられるっていうのかな。能力もスゴいんですけど、気が合うってのが一番かな?
ーーあんまり下心はなかったんですか?
なかった、なかった。ボニーも仕事の話されるのが新鮮だったみたいで。こんな仕事の話ばっかりしてる日本人見たことないって。
ーーハハハハ(笑)
そりゃ、オレは必死さが違うよ!(笑) そりゃ日本からサラリーマンで台湾に来ている駐在員と一緒にされたら困るからね(笑)
ーーたしかに駐在員と呼ばれる日本の会社に所属してる日本人は、日本でもらえる給料プラス海外出張手当をもらえますもんね。業績が上がろうが下がろうが、たいして給料変わらないですし。
出口:そう、たまに休みにちょろっと台湾の女の子引っ掛けて遊んでる日本人と比べたら、オレは台湾で仕事に燃えてる人に映ったんじゃない?
ーー台湾でラーメン屋を立ち上げた話を聞いてたら、出口さんは台湾で仕事に打ち込まざるを得ませんもんね。 (ちょうどボニー、トイレから帰ってくる)
今の武藤ラーメンがあるのは、台湾人の彼女のおかげな部分が本当に大きい
ーー (3人になって) なるほど。そして付き合ったというわけですね。その後にラーメン屋の情報を聞いてたら、さらに出口さんは台湾人の彼女の優秀さに気付いたそうですけど、どんなところでした?
そう!そう!最初は「この子、可愛いな」って近づいたんですけど、相談している間に「あれ?すげぇ優秀やな……」って。
ぼくは中国語も英語もしゃべれないんで、彼女との会話は全部日本語なんですけど、「よく考えたらこの日本語能力とかすごくね?」とかね。
ーーちなみにボニーは何カ国語しゃべれるんですか?
ボニー:英語、中国語、日本語と台湾語?台湾語はあんまり得意じゃないから、3つかな?
ーーそもそも英語がしゃべれるようになったのも、オーストラリアにいたからなんですよね?
ボニー:そう、10年間。小学校卒業してから、家族でオーストラリアに移民しました。そこで中学、高校、大学まで卒業して、それが終わったらまた1年間日本で留学しました。その後に台湾に戻ったんです。
ーーな、なるほど……。すごいですね。語学だけでなく、他の能力も秀でてると聞きました。
出口:そうです。武藤ラーメンのメニューは全部彼女が作りました。撮影からデザイン、ぼくが考えた文章の翻訳まで。
非常に優秀なんで1週間以内に仕上げてくれました。ボニーは元々オーストラリアの大学でデザインを専攻してたもんね。
台湾人の彼女のボニーがデザインしたメニュー
ーースゴ過ぎますね。最近出口さんは他の場所で言ってましたけど、「台湾人の彼女が優秀すぎて別れられない……。別れたらぼく、武藤ラーメンをやっていけなくなる……」って言ってましたが、本当でしょうか?(笑)
出口:そう、不安なんですよ。
ボニー:不安?じゃあがんばってね(笑)
出口:がんばります!
……って、なんやこのシメ!
ーーハハハハ(笑) いろいろ手伝ってもらってますけど、やっぱり一番はお2人の気が合ってるんだなぁって見てて思います。
出口さん、台湾ラーメン起業の次は、国際結婚という新たな一歩へ
ーこの彼女同伴の場所でこの質問は卑怯かと思うんですけど、ところで出口さんはいずれ結婚の予定はあるんですか?
出口:ん?……ありますよ(笑) 実はここにインタビューに来る前に、ボニーのお母さんと一緒に食事して、「結婚します」って報告してきました。
ーーおお!?じゃあ今日は記念すべき日だったんですね!
出口:実はね(笑)
ーーこの質問していいのかとビビってたんですけど(笑)、おめでとうございます!
出口:でもけっこう大変やった。やらなアカンことがたくさんあった。
ボニー:私たち、甘かった……。
出口:ぼくは「籍だけ入れればいいかなー?」って考えてたんですけど、ボニーのお母さん、結婚式をやる気満々で……。
ボニー:私のお母さん、「結婚式の会場はどこにしますか?東京のこのホテルはどうですか?一度泊まったことがあるんですけど、良かったですよ!」って感じで、結婚の話したらもう式場まで今日のうちに勧めてきたんです……。
ーーえ?東京で結婚式やったら、いくら費用がかかるんですかね?
ボニー:もし結婚式の費用がたりなかったら、お母さんが半分出してくれるって言ってて、やる気満々でした……。ウェディングフォトも撮らなくていいよって言ったんだけど、お母さんが「ダメー!!ちゃんと撮りなさい」って……。
出口:やっぱそこは台湾母ちゃんやね。強烈だった……。
ボニー:うん、本人の意見とか聞かない……。私たちの結婚なのに……。
出口:でもまあそんな感じで、ぼくは国際結婚という新たな課題に挑戦します。
ーーハハハハ(笑)いろいろ大変そうですが、本当ににおめでとうございます!台湾でラーメン起業して、今度は国際結婚ですか。本当にすごいですね。
本当に山あり、谷ありの台湾ラーメン起業の1年間を振り返って
ーーではド素人がゼロから台湾でラーメン屋を立ち上げ、1年間続けてきたことについて振り返っていただきたいと思います。1年間いろいろあって、今持ち直してきたってことですよね。今はうまくいっているように見えますが、出口さんに達成感はありますか?
出口:達成感かぁ……。(数秒間悩む) あ、一番最初にお店をオープンした時はオープンする前までが大変だったんで、その時の達成感が一番初めかな?
ぼく、毎日日記を書いてるんですけど、やっぱり読み返すとその時の日記は一番感情が出てるなって感じがします。あとはラーメン屋に戻って、お客さんがたくさん戻ってきてくれたときですね。その時も達成感がありました。これでちょっと安心できるなって。
あとはスタッフが成長したときかな。あれが一番嬉しいです。ぼくが初めてスタッフに全部店を任せて、休んだことがあるんですよ。
その時に何の問題もなく、「営業終わりました!」って連絡が来た時、あれはすごい達成感がありましたね。ぼくがいなくても大丈夫だったので、すごくありました。
ーーじゃあ出口さんは台湾で成功されたと思いますか?
……あんまりまだ思わないなぁ。今ようやく土台が作れたって感じですね。
ボニー:今からね。
出口:うん、今からだね。そのやり切った感がすごくあるんですけど、でも客観的に見てみたら何も始まってないんで、ここから稼いがないと。あと貯金もしないといけないですし(笑)
ーーオープンする時にかけた1,000万円以上の出資金も回収しないとですね。
出口:そうそうそう!まあでも味作りとか、そういう面では土台が作れたんで、2年目は組織運営を頑張りたいです。スタッフの教育など、そっちのほうを頑張っていかなアカンと。
それが武藤ラーメン、2年目の課題ですね。
出口さんのフェイスブックより 武藤ラーメンを1年間開いた振り返り
出口裕介という新しい生き方 ~モノより経験を求めて、挑戦したい~
ーーありがとうございます。では出口さんは「これからどうやって生きていきたいか?」という目標はありますか?
出口:まえちゃんに質問されたっていうのもあるんですけど、自分を振り返るとやっぱり好奇心旺盛だと思ったんですね。転売、株投資、ブログ、iPhoneアプリ開発とここまでいろいろやってきたんで。
いずれラーメン以外のことにも取り組み始める時がくると思うので、それまでにしっかりと台湾で土台を作っておきたいです。
そして次の自分の興味あることに挑戦したいです。そう、次のことを始めても問題がないくらい収入が安定して入る状態が、今の目標です。
ーーなるほど。常に挑戦し続けたいということですね。それでは最後の質問をさせてもらっていいでしょうか?ぼくのブログって、けっこう25歳から30歳くらいの新しい生き方をしたくて悩んでいる人が、読んでくれていると思うんです。読者の方に会わせてもらうと、そんな怖がりながら新しい一歩を踏み出したい人が読んでくれると感じます。
ーぼくも海外に行こうと決めたのは26歳の時だったし、出口さんが台湾行きを決めたときは27歳だったじゃないですか。やっぱりそれくらいの年齢で生き方に悩むと思うんです。
ーだからこれから新しい生き方の一歩を踏み出したい人へ向けて、出口さんからメッセージをもらえたらと思います。
出口:あー、新しい生き方、新しい生き方か……。
ーー何かありますかね?
……生き方かどうかわからないんですけど、ぼくが台湾来る前に日本でフリーランスをやっていた時に、今年30歳になる同い年の幼なじみの男友達とルームシェアしてたんです。その時にフリーランスってこともあったんで、よく彼と夜に話をしてたんですね。
なんかぼくらの世代って、もうある程度恵まれているので、特にほしいモノとかがないんですよ。別に車も高級車は買えなくても、そこそこのものはあるし、まあ給料も景気が悪いといったって、最低月に20万円はあって、生活する分には困らないじゃないですか。
「そうなると何がほしいか?」って話を彼とよくしてたんですけど、「死ぬほど頑張った」とか「これをオレは挑戦した」とか、そういう「経験がほしい」って答えっていうか、結論に同世代の子はたどり着くんですね、みんな。
やっぱ今まだ仕事を続けて、家庭を持った友達も、「チャレンジしてみたい」って言うんです。なんかカネ持ちになりたいっていうより、「チャレンジしてみたい」って思う気持ちが強い世代なんですね。
ただ挑戦するには非常に勇気がいる。自分の生活を変えなければいけないから、勇気がいるんです。だからせめて独身で彼女がいないなら、何でもチャレンジすべきだとぼくは思いました。
子どもいたら、シャレになんないかもしれないけどね(笑)
でも別に「結婚していなくて、彼女もいなかったら、どこにリスクがありますか?」って話じゃないですか。せめてそういう若い人たちはチャレンジすべきかなと思います。
仕事辞めても大して困りません。そう思います。
そういう感じで、ぼくは彼女のボニーの転職も勧めました(笑) ボニーはヘッドハンティングで転職を誘われてたんですけど、転職したら忙しくなるんじゃないかと悩んでたんで、チャレンジしないとって。
ーーそうですよね、チャレンジしないと(笑)
ボニー:そうだね、転職したら給料も高いし(笑)
出口 :うん、チャレンジスピリット!
ーーハハハ、ボニーはやっぱり台湾人ですね(笑) 出口さん、ボニー、本当にありがとうございました。そして結婚おめでとうございます!
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