2014年の12月10日 ぼくは台湾の南部にある台湾という街にずっと好きだった台湾人の女の子リリーに会いにいく。しかし彼女からは数日前に彼氏ができたという報告を受けていた。心の整理がつかないまま会ったぼくだったが、今までと変わらない関係として楽しく会えた。
しかしぼくは自分たちの距離感に気づき、彼女と友達でいる決意をする……。
One more thing 〜 リリー 〜 ぼくと台湾と、そしてずっと振り向いてもらえない好きな台湾人の女の子について 前編 – あしたはもっと遠くへいこうあしたはもっと遠くへいこう
やっぱり確認してしまった埋めがたい距離
本当に夢みたいに楽しい2時間だったけど、言葉でどう言い訳しようが、直感でぼくは気付かされてしまいました。
このからかって、冗談を言い合い、そして笑っているだけの関係じゃダメなんだ。この関係を続ける限り、ぼくはリリーの彼氏にはなれない。
きっとリリーの彼氏にふさわしいのは、ぼくみたいな同級生のような人ではなく、なんか辛いことがあった時に包み込んであげられる包容力のある人。
昔好きなタイプを聞いた時に年上か同級生までがいいと言ってましたが、やっぱりしっかり者のリリーにはぼくじゃたりないんだって思わされたんです。
この1年間半、たくさんリリーに自分のたりないところを教えられました。
カズはレディーファーストができない、スウィートじゃない、女好きだ、仕事が遅い、モノを忘れたり、計画が甘かったり、遅刻したりする。
リリーに指摘されて、何度となく自分のたりないところに気付かされたぼくの1年半。そのたびに直して、他のワーホリしていた日本人の女友達から「本当に日本で一緒にバイトしてた頃からだいぶ変わったよね」と言われてきました。
でもわかっていたけど、直すだけじゃダメでした。
だってぼくが彼女に惹かれるばかりの関係は、恋愛として成り立たないから。
この関係で「まだリリーが好きだ」って伝えるなんて、ぼくの甘えだと思う。男として魅力が欠落してるぼくを振り向いてほしいだなんて、それこそエゴです。ぼくが彼女にたくさん何かしてあげられる人間にならないと、絶対振り向いてもらえない。だからぼくは好きだって気持ちを心の奥にしまって、リリーと友達でいようと思いました。
「また来年もよろしくね。リリー!」
「うん、じゃあまた来年カズが台湾にワーキングホリデー来たら遊ぼう」
そして最後に台南駅の構内で写真を撮って、ぼくらは別れました。
変わらないぼくらの関係と変わった方がいいもの
2013年11月の台湾 高雄の夜市で
台南でリリーに会ってぼくは気付かされたことがあります。ぼくらのいろんな気持ちや関係が、いい意味でも悪い意味でも、何も変わらないってことが。
ぼくらの関係は1年半前にフィリピン英語留学した時から友達のまんまだし、ぼくがリリーを好きだって気持ちも変わらない。
その一方でたとえ好きだと言ってもリリーは振り向いてくれないだろうけど、今回台南で会って感じたように一緒にいて本当に楽しいのも変わらない。
そしてすぐリリーのことを嫌いになって距離をおけるはずもない。
いや本当は変わってたんです。ぼくがリリーに告白した時にぼくらの関係はぎくしゃくしてしまった。
リリーはぼくがオーストラリアのニューカッスルで2014年の2月14日に告白した時「友達のままでいた方がいい」と断りました。でも彼女はそのぼくとの気まずい関係をなんとか戻そうとしてくれたんです。
1週間から2週間くらいは気まずかったし、一緒に料理をしていたのも避けて、全然話そうともしてくれなかった。だけどそれでも時間を置いたら話してくれたし、前みたいな友達として関係をぼくと戻そうとしてくれました。
2014年5月2日 オーストラリアのニューカッスにて
そして最後の2014年の5月2日はぼくの28歳の誕生日を祝ってくれて、手紙までくれた。
だから今度はぼくが変わろうと思う。
大好きなリリーが幸せであってくれればそれでいい。ぼくが彼氏という立場でそれができないなら、暖かく見守って彼女の幸せを喜んであげたい。
やっとバカだったぼくは気付けました。
リリーの幸せを考えるのがぼくのやるべきことだって。そしてぼくがまた直さなきゃいけないところは、リリーから距離を取るんじゃなくて、ぼくがリリーの仲のいい友達になることだ、と。
リリーがぼくに距離を取らないでいてくれたように、今度はぼくがリリーの親しい友達であり続けること。それがぼくにできることでした。
変わらなければいけないのは、今までのぼく自身
2014年の2月 オーストラリアのニューカッスでバーベキューした時
本当に自分は28歳になるまでガキだと思いますが、今までイヤな人間関係があると切ってきました。元カノと別れたり、意見の合わない友人や後輩とケンカをすると、一切連絡を断ってきたんです。
特に5年前の23歳の時に元カノと別れたときは、自分に直さなきゃいけなかったのに、別れた後に連絡を取らないようにしてしまいました。
でも向こうはしばらくして連絡を取った時に「どうしてあの時またやり直そうっていってくれたなかったの?」といわれたことがあります。
別れたときはガキっぽく「いつかすごく変わった自分を見せてやる」なんて本当に幼い考えをしていました。でも本当に大事だったのは、元カノのそばで自分のたりない部分を変えたぼくを見せることだったと思う。
リリーに彼氏ができたらすぐ「会いたくない」だなんて思ってしまうぼくは、やっぱりまだ子どもっぽいんです。
だから今度はリリーのそばで幸せを喜んであげられるように変わろうと思う。ぼくの想いが届かなくても、リリーのことが好きだから、幸せになってほしい。そう別れた後に心から思えました。
あきらめるけど、でもやっぱり好きだから幸せになってほしい
2013年7月 フィリピンの英語学校寮のリビンルグルームにて
台南の駅で別れた後にLINEで冗談を言い合うメッセージをやり取りしてて、彼女は突然ぼくにこう送ってきました。
「Hey,Don’t worry about our relationship. We are friend forever(何も心配することなんてないの、私たちの関係を。私たちはずっとずっと友達よ)」
きっと最後の別れ際にぼくが「リリーに彼氏ができて動揺した」と伝えた言葉を心配してたんだと思います。
やっぱりリリーにはかなわない。彼女の方が大人なんです。
リリーに出会えて本当によかった。ぼくには彼女が大好きだって気持ちだけでなく、リリーのことを尊敬しているし、この好きだという気持ちの奥底には感謝の気持ちがあふれている。
だからこの日リリーと友達として会えてぼくは満足しました。前に進める。そう思ったんです。
その気持ちをLINEのメッセージで伝えたぼく。失恋したけど、不思議なくらいぼくの気持ちは爽やかでした。
人から見れば言い訳か、あきらめにも聞こえるかもしれません。でもやっぱりぼくはこの道が正しいと思う。いつか彼女に頼ってほしい。リリーがいっぱいぼくが教えてくれたように、今度はぼくがリリーにたくさんプレゼントしたい。
今ここであきらめてぼくが大人にならなきゃ、ぼくはずっと子どものまんま。ほしいモノが手に入らないから駄々をこねる男にリリーは一生振り向いてくれないでしょう。
やっぱりぼくはリリーが一番大好きだから、幸せになってほしい。実際に会ってみて、それを心から想える自分にぼくは気付きました。
2013年11月 リリーの地元である台湾の高雄の愛河にて
1年前の2013年11月のことです。ぼくがリリーの故郷である台湾第二の都市・高雄に遊びにいって、リリーが夜の高雄を案内してくれた時、彼女はぼくにこう尋ねました。
「カズ、高雄の別名を知ってる?」
「え?知らないよ」
「ハハハ、Love city(愛市)って言うんだよ」
何それ?その時は日本人のネーミングセンスでは絶対付けない恥ずかしい名前だと思いました。でもこう言うのは恥ずかしいけど、ひょっとしたらそんな街で生まれたリリーは「愛って何か?」を教えてくれるために、ぼくの前に現れたんじゃないかと思う。
リリーに会うためにフィリピン、台湾、オーストラリア、そしてまた台湾を飛び回って、気付いたら地球を1/4周してて、やっとバカだったぼくはわかりました。
誰かに一方的に惹かれるのが恋なら、どんな形であれ、好きな人の幸せを願えるのが愛なんじゃないか?
リリー、ぼくはキミと付き合いたいって気持ちをあきらめるけど、でもリリーが世界中の誰よりも幸せになってほしいって願ってるよ。
本当に、本当に、ありがとう。
もしこの言葉を伝えたら、きっとキミは「カズ、そんなの当たり前でしょう。やっと気付いたの?やっぱりバカね」って笑うんだろうけど。
外国人同士だけど、こんなにも親しい友達ってこと自体、特別なことなんだと思います。フィリピンの英語学校に一緒に通って、オーストラリアで3ヶ月半も同じ家に住んで、働いて、そして台湾でまた会ってる。
フィリピンやオーストラリアで多くの外国人と出会ったけど、その場限りの出会いがたくさんありました。いやむしろそれが普通なんだとおもう。でも不思議なことに未だにぼくらの距離は近い。リリーがぼくを友達と認めてくれるんだから、今度はぼくがこの関係を手放さなければいい。
だから今ぼくは1人の親しい友達として、リリーが幸せであってほしいと心の底から願ってる。
失恋したはずなのに、ぼくの心がすがすがしいほど晴れやかなのは、きっとそれに気付けたから。
また来年台湾でリリーと会えるのが楽しみです。
あとがきへ続きます。
あとがき 〜 リリー 〜 ぼくと台湾と、そしてずっと振り向いてもらえない好きな台湾人の女の子について – あしたはもっと遠くへいこうあしたはもっと遠くへいこう
コメント
コメント一覧 (1件)
こんばんは。
そのように思えるなんて私なんかより全然大人です。
ついコメントしてしまいました。