何度も泣かすなよ。台湾代表が甲子園で準優勝した実話映画『KANO 1931 海の向こうの甲子園』が最高だった

KANOパンフレット

甲子園に、台湾代表が出場したことを知っていますか?

こんにちは。12月に台湾旅行を終えて、日本に帰国してきたまえちゃん@Maechan0502です。

こう問いかけられると「え?」って思いますよね。「日本の高校の大会である甲子園に、国が違うはずの台湾代表が出場できたの?」というこの疑問。

これは現在日本で公開されている台湾映画『KANO(カノ)』のキャッチフレーズです。1931年に台湾の学校が甲子園に出場し、そして準優勝を成し遂げた実話を元にした台湾映画。

今この映画が日本で大ヒットしているんです!公開一週間後でも劇場が満員になり、一度売り切れて再入荷した『KANO』のパンフレットがまた売り切れるほどの人気。

もうですね、ぼくはすでに2014年10月に台湾で一度この映画を見ていたのに、今回日本で観て何度も涙腺が崩壊しました。

それほど心に訴えてくる感動的な映画なんです。これはぜひ多くの人に観てほしい!

今回はいま日本で大ヒットを記録している台湾映画『KANO』の見どころと紹介したいと思います。

では行ってみましょう!

目次

映画『KANO(カノ)』の映画の舞台とKANOの意味

KANO 12

中学校の社会の教科書に書いてありますが、1895年から1945年まで台湾は日本の一部でした。そしては1931年の台湾南部の街・嘉義にある嘉義農林高校野球部がこの映画の舞台です。

永瀬正敏演じる近藤兵太郎監督が、日本人と中国系台湾人、そして台湾の先住民族の3民族混成チームが率いて甲子園で準優勝した1931年の実話を元に描いています。

そしてこの嘉義農林(かぎのうりん)学校の略が嘉農であり、映画のタイトルの『KANO』になっています。

台湾では2014年2月27日に公開されて、興行収入が1億台湾ドルを超えれば大ヒットと言われる中、3億台湾ドル(約10億円)を突破!3ヶ月のロングランを記録しました。

それが2014年1月24日から日本でも封切られ、大ヒットを記録しています。

映画館に足を運んでみて、観客の多さに心からビックリした

KANO 03

さてぼくは2013年に3ヶ月間のフィリピン英語留学していた時の2人部屋のルームメイトが台湾人でした。さらにその後も2014年にオーストラリアで、台湾人と同じシェアハウスで半年間以上一緒に暮らしたことがあります。

だからこの映画も2014年3月の時点で台湾人のリリーから教えてもらって知っていたのですが、まさか台湾映画がここまで日本人に観られるとは思いませんでした。

KANO 07映画を観終わり、席を立つ人たち

朝8時15分の回を予約し、映画館のある横浜ブルク13に着いたら、すでに席が9割埋まっていたんです。いくら2月1日の映画の日デーで1100円で観られるからといって、朝8時15分からこんなにも台湾映画を観たい人がいたなんて、台湾びいきのぼくでも信じられません。この事実に感激しました。

客層的に40代以上の中年男性と60代以上のシニアの男性・女性の姿が目立ちましたが、ところどころぼくみたいに若い人もいます。

そして映画が進んでいくうちに劇場内からはすすり泣く声と、暗闇にスクリーンの光で反射して輝く観客の涙が見えました。

ぼくは映画『KANO』の野球部の姿に、台湾人の生きてきた歴史がダブって見えた

KANO 13

1929年、嘉義農林学校の弱小野球部に、日本人の監督・近藤兵太郎がやってくる。甲子園進出を目指すという近藤の下、厳しい練習に励む部員たちは、次第に勝利への強い思いを抱くようになる。

そして31年、台湾予選大会で大躍進し、常勝校を打ち負かして台湾代表チームとして甲子園へ遠征した嘉農野球部は、決してあきらめないプレイスタイルで日本中の注目を集める。

決してあきらめない。映画『KANO』の1つのテーマです。劇中で彼らは何度も街の人や近隣学校の生徒から「今まで1度もヒットを打ったことのない弱小野球部が甲子園に行けるワケないだろ」とバカにされます。

しかし永瀬正敏演じる近藤監督に指導され、誰もが無理だとおもっていた甲子園出場を、日本人、中国系台湾人、そして台湾の先住民族合同チームで成し遂げます。

その姿勢がぼくには台湾の歴史とダブって見えました。

台湾はその歴史で多くの国から支配されてきています。古くはオランダ、清帝国、日本、そして中国から戦後渡ってきた国民党などです。台湾人が直接政治をしてきたのは、1988年に台湾生まれの李登輝元総統が最初であり、86年生まれで現在28歳のぼくより台湾の民主政治の歴史は若いんです。

現在も中国が台湾を中国の一部だと主張していますが、ぼくが海外で出会って一緒に住んで生活してきた台湾人の友達は口を揃えてこう言いました。

「私たちは中国人じゃなくて、台湾人。間違えないでね」

ぼくは2014年に1年間にオーストラリアにワーホリで住み、多くの台湾人に出会いましたが、全員そう伝えてきました。その彼らがやけに台湾の国旗を持ってきていたのは、自分が台湾人だということを伝えたかったんじゃないかと思うんです。

映画でも甲子園の決勝のグラウンドで選手は叫びます。

「オレたちは台湾から来たKANOだ」

自分たちは台湾人であり、決して勝つことをあきらめない。1931年に甲子園で優勝できなかったように、未だに台湾は中国ににらまれているから胸を張って独立宣言できません。

ぼくにはその台湾の歴史と映画のストーリーがダブり、選手のセリフが台湾人の気持ちを代弁しているようで、思わず一番目頭が熱くなって、ほおに涙が伝わりました。

外国人と話すときに大事なのは「どの視線で会話するか?」というメッセージ

KANO 14大沢たかお演じる八田輿一

ぼくには台湾人の友達が30人以上います。でもいくら親日の彼、彼女らでもぼくにこんな質問を投げかけてきました。

「日本人は台湾人に対して、悪いことをたくさんしてきたでしょ?学校の歴史でそう習った」

たしかに映画にも何度も出てきたように日本人は台湾人を差別してきました。それは歴史的事実です。

そしてひどい時は多くの台湾人の命を奪いました。代表的なのは霧社事件でしょう。1930年に台湾先住民族が抗日運動を起こして140人もの日本人を殺し、今度は日本側が軍隊を出して700名もの台湾先住民族を殺害して鎮圧しました。

『KANO』のプロデューサー・ウェイ・ダーション氏はこの霧社事件をテーマに、映画『セデック・バレ』を撮っています。

しかし一方でパンフレットで脚本を手がけたウェイ・ダーションプロデューサーはこんな発言をしていました。

「ぼくが嘉農に興味を持ったのは、『セデック・バレ』で描いた霧社事件の翌年に、嘉農が甲子園で準優勝した事実でした。たった1年で、一方に台湾の近代史上最も凄惨な出来事が起き、一方に最も輝かしい栄光が起きていた。

この差はなんだったのか?

それを考える中で、霧社事件は現地の日本人警察官たちの上からの目線が原住民たちの怒りに火をつけたと知り、逆に近藤監督は常に選手たちに同じ目線で接したと聞きました。

つまり、僕が映画で描きたかったのは、台湾と日本の政治的な歴史や背景ではなく、人が人を動かす時のひたむきな目線なんです。 

『KANO』パンフレット18〜19ページより

この映画にぼくが探していた「日本のやってきた負の歴史を、どう外国人の友達に答えるか?」という回答がありました。

映画の中で永瀬正敏演じる近藤監督は蕃人(台湾先住民族)、漢人(中国系台湾人)、そして日本人の混成チームで野球ができるのか?と日本人のお偉いさんにバカにされ、こう切り返します。

Kano 02

「いいですか、蕃人(ばんじん)は足が速い。漢人(かんじん)は打撃が強い。日本人は守備に長けている。こんな理想的なチームはどこにもない。」

いまは日本でも韓国や中国のヘイトスピーチであふれ返り、そしてそれに比べて台湾人は親日で素晴らしいと言われたりします。

でも『KANO』は相手を民族で差別するのではなく、お互いを認め合って、同じ目標に向かって一緒に目指していくことの大切さを教えてくれました。

いま思い返してもこの言葉に目頭が熱くなります。何度も差別をしりぞけ、全員で同じ目標に向かう嘉農野球部は、そのたびに涙を誘います。

何度も泣かすなよ。本当に素晴らしい映画です。

まとめ これから海外に出る人こそ絶対観てほしい映画

KANO 01

これからグローバル化の時代を迎え、2020年には東京オリンピックがあります。さらに外国との距離が近くなっている中、この映画『KANO』はぼくらは外国人と接する時に、絶対忘れてはいけない視線の位置を教えてくれると感じました。

ぼく自身、3ヶ月のフィリピン英語留学と1年間のオーストラリアワーキングホリデーで100人を超える台湾人と出会っています。

実際に会ってみるともっと知りたくなったし、この映画は台湾人と日本人のつながりを知るための、素晴らしい入り口になっていると思います。「『KANO』を観た」と台湾人に言えば、一気に距離が縮まって仲良くなれるでしょう。

でも台湾人だけじゃない。これから海外に出る人は、どうすれば外国人とコミュニケーションを取ればいいか悩む人が多いと思います。そのヒントがこの映画にはあります。

この映画の永瀬正敏演じる近藤監督の優しい視線を、ぜひ映画で観て感じ取ってほしいです。

最後に予告編と劇場のリンクを貼っておくので、気になったらぜひ予告編だけでもいいから観てみてください!

もっと多くの日本人に『KANO』が観られることを願って!

ではまた!

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この記事を書いた人

職業HP制作業者、ライター、ブロガー。北海道札幌市在住。ブロガーやライターとして培ってきた取材インタビュー能力を活かし、お客様に自分達の商品・サービスが伝わるHP制作業を営んでいます。

過去に1年間のオーストラリアワーホリ、4年間の台湾在住、コロナ禍で帰国。神奈川県横浜市から北海道札幌市に移住し、暮らしています。

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