どーも、日本からこんにちは。台湾ブロガーのまえちゃん@Maechan0502です。
さてぼくは現在名古屋にいるんですが、この味噌だらけの街・名古屋を歩いてて疑問があります。
そうです!写真の通り、なぜ名古屋には「台湾」と名前のつく食べ物が多いのです。
例を挙げてみれば「台湾ラーメン」「台湾まぜそば」があるし、耳を疑うような名古屋メシ「台湾カレー」も存在すると聞きます。
さらに追い討ちをかけるように、手羽先で有名な世界の山ちゃんには「台湾焼きそば」も!
あんかけスパゲッティー専門店には「台湾あんかけスパ」なるメニューもあるので、
もはや台湾か、イタリアか、はたまた名古屋をアッピール!したいのか、意味不明であります。
えぇーー。なぜ名古屋にはこれほど台湾と名前のつく食べ物が多いんでしょうか?!
しかも台湾在住歴3年を超えるぼくの一番疑問は、名古屋の「台湾飯メニュー」を、一度たりとも台湾で見かけたことがないことです!!
どの台湾ラーメンも、台湾カレーも激辛ですけど、そもそも台湾人は激辛な味、好きじゃないですからね!!
こんなに名古屋の台湾飯について疑問に持つのは、ぼくが台湾ブロガーだからかもしれませんが、ここまで台湾があふれていると調べずにいられません。
というわけで、今回は名古屋にある台湾ラーメン、台湾カレー、台湾まぜそばのお店を訪ねて、直接店員さんに質問してみました!
「すみません、なぜこのメニューには台湾と名前が付いてるんですか?」
恥ずかしいですが、そんな質問を3人の店員さんにぶつけてみたので、ぼくと同じように疑問を持っている台湾好きは読んでみてください。
ではどうぞ。
一軒目 名古屋市内の高岳駅近くで台湾ラーメンの提供する高松
さて名古屋「台湾」飯取材の一軒目は台湾ラーメンです。
名古屋市内には200軒以上も台湾ラーメンを出すお店があるので、その中でも有名店と言われる高松にやってきました。
高松はもともと味噌ラーメンで有名なお店ですが、名古屋らしく台湾ラーメンも提供しています。
ここは台湾ラーメンだけでなく、台湾まぜそば、台湾つけそばもあり、バリエーション豊か!
さらにカレー台湾そばまであるらしく、これを見たら台湾人だけでなく、インド人までもが疑問に感じて寝れなくこと請け合いです。
ええ、名古屋のラーメン屋は罪深いですね。
今回ぼくが頼んだのは台湾そば(台湾ラーメン)です。
カレー台湾ラーメンも食べたかったのですが、一度にいくつも頼めないので、スタンダードなメニューを選んでみました。
見てください!長く台湾に住んでいますが、一度もこんな食べ物は見たことありません。
ネギがあるのはいいとして、ニラがこんなにふんだんに使ってあるのは台湾料理にはないし、上に乗っている茶色のミンチが辛すぎるんです!!
台湾には魯肉飯(ルーローファン)など、ミンチ料理が数多くありますが、どちらかというと甘いはず……。
しかしこの台湾ラーメンは顔から汗が流れるほど辛く、まるで中国本土の麻婆豆腐など激辛料理で有名な四川料理かと思いました……。
ちょっと台湾ラーメンは、名乗る国と地域を間違えてないでしょうか?
台湾ラーメンの味は美味しいんですが、ちょっと辛いので好き嫌いの好みが激しく分かれそうです。
高松のお店の店主さんになぜ台湾ラーメンなのか?聞いてみた
ラーメンも食べ終わったので、今回のテーマである「なぜ台湾そば(ラーメン)に台湾と付いているんですか?」とお店の店主さんに聞いてみました。
「すみません。ぼく、愛知県外から来たんですけど、なぜ名古屋なのに台湾ラーメンって言うんですか?」
すると高松の店主さんからは、え?なぜそんなことを聞いてくるの?とビックリした顔を見せられたのですが、こう答えてくれました。
「困ったな。台湾ラーメンと言っても、名古屋名物ですからね。
詳しくは知らないんですけど、もともと名古屋の味仙というお店で、まかないで作っていたラーメンを常連のお客さんに台湾ラーメンと名付けて出していたのが始まりだと聞いてます。
それで広まり、いまや名古屋名物になったらしいです。
うちの台湾そばも名古屋名物なので、メニューの一環として出しています。」
なるほど!そういう理由だったんですね。
ぼくは個人的に、店主さんが名古屋なのに台湾ラーメンという名前に何一つ疑問を持たずに受け入れてる様子にビックリしました。
しかし店主さんは県外からきたぼくの質問に、「そんなこと聞かないでよ」という顔をしていたので、お互いさまのようです。
二軒目 名古屋市内の千種駅近くで台湾カレーを提供する麺屋はなび監修元祖台湾カレー
名古屋「台湾メニュー」めぐりの二軒目は台湾カレーです。
ぼくは名古屋市内に展開する台湾カレーチェーン店の麺屋はなび監修元祖台湾カレーにやってきました。
最初に名古屋で生まれた台湾メニューは台湾ラーメンらしいので、台湾まぜそばなどのラーメンメニューで横展開する理由はわかるんですが、カレーにまで台湾が派生するとは……。
しかも外の看板に並んでる台湾カレーのメニューを、ぼくは一つも台湾で見たことがありません。
台湾カレーへの疑問は高まるばかりなので、とりあえず入ってみることにしました。
台湾へのディスリスペクトか?!台湾カレーの店舗の卓上に国際問題に発展しかねないトッピングメニューを発見!
入店して食券を買ってみると、さらなる台湾カレーの疑問が卓上の上にありました……。
あれ?これ、なんだ?と思ってみたら、
キムチです。
ちょっと!これじゃ、台湾ではなく韓国じゃん!
台湾カレーと名乗りながら、韓国料理のキムチを付けるとはでは、ちょっと卓上から台湾をディスってないですかね?
続いて届けられた台湾カレーを眺めてみると、カレーの上に台湾ミンチと名のつく、ぼくが台湾で見たことのない肉が乗っています。
台湾人は生卵なんてほとんど食べないし、サイドメニューのニンニクはラーメン二郎の「ニンニク入れますか?」を想像させるではないですか。
「オレはこんなニセ台湾料理認めないから」
台湾ブロガーを代表して、ぼくは自分のブログと食べログで台湾カレーを酷評するべく、さっそくスプーンを手にとりました。
が、しかし!
……意外と美味いではないですか!!台湾カレー!!
19歳の頃からラーメン二郎の化学調味料とニンニクに慣れ親しんできたぼくのグルメな舌が、これはうまいと叫んでいます!!
付け合わせのニンニクもカレーに合うので、これは名古屋にいたら通ってしまいそうです。
結局ものの5分で完食。
写真を撮り忘れましたが、付け合わせのキムチも台湾カレーに合いました。
個人的には台湾ラーメン、台湾まぜそばも食べましたが、台湾カレーが一番美味しかったです。
すみません!「卓上の韓国キムチは台湾へのディス」と言いましたが、台湾キムチカレーはめっちゃ美味しかったです!
もう台湾だろうが、韓国だろうが、美味しいければそれでいいという気分になりました。
麺屋はなび監修元祖台湾カレーのお店のスタッフさんになぜ台湾カレーなのか?聞いてみた
台湾カレーも食べ終わったので、そろそろ恒例の質問タイムです。
「すみません。ぼく、愛知県外から来たんですけど、なんで台湾カレーって言うんですか?
するとアルバイトと思わしき女性スタッフさんはとまどいつつも、こう答えてくれました。
「えっと、台湾カレーの由来はわからないんですけど、名古屋では辛いミンチを台湾ミンチと呼んでいます。
その台湾ミンチを乗せて作ったカレーだから、台湾カレーという名前をつけたと聞きました。」
なるほど。なぜ台湾カレーを出店しようと思ったのまではスタッフさんだったので聞けなかったのですが、どうやら名古屋ではこの辛い肉のミンチを乗せれば「台湾〜〜」と名乗って良さそうです。
その後台湾カレーのスタッフさんに「実はぼく、いま台湾に住んでて、台湾ではこの辛い台湾ミンチなんて食べ物はないんですよ」と言ったら、目が点になるほど驚いていました。
他の人に聞いても感じたのですが、どうやら名古屋の人は、心の底から台湾には辛い食べ物があると信じているようです。
うーん、誤解を解きたい……。
しかしぼくがスタッフさんに台湾カレーは台湾ラーメンより美味しいと伝えたら 、「なかなか台湾カレーを美味しいと言ってくれる人はいないんですよー!嬉しいです!」と喜んでくれました。
元祖台湾カレーはいろいろ本場の台湾から外れていましたが、働いたる店員さんから台湾カレーへの愛着があり、とても好印象でした。
この記事を読んでくれてる人にもオススメしたい味なので、名古屋に来たら行ってみてください!
三軒目 名古屋市内で台湾まぜそばを提供する麺屋はなび
この名古屋飯なのに台湾飯と名乗る謎を解き明かすツアーもそろそろ終わり!
というか、せっかく日本にいるのに、これ以上名古屋で台湾と名前のつくモノを食べたくない……!
というわけで、最後にぼくは台湾まぜそばを考案したと言われる麺屋はなびにやってきました。
1月の寒空なのに外に並ぶほどの行列で、非常に地元民から愛される人気店だとわかります。では入ってみましょう。
……ありますね。メニューに台湾まぜそばと台湾ミンチが。
しかも卓上のメニューには「台湾たまごかけごはん」なるメニューもあり、
『今日はラーメンが食べたい…。でも台湾と食べたい…。』そんな時にはコレでしょう!
と書かれています。
……台湾食べたいって、いったいなんなんですかね。
いつから台湾は観光地じゃなくて、食べ物になったのでしょうか?
台湾在住だけど、ぼくの知らない台湾が名古屋にはありました……。
まあ調査なので、仕方なく台湾まぜそばと台湾たまごかけご飯を注文して食べてみたのですが、辛いまぜそばと辛いたまごかけごはんという印象は最後までぬぐえませんでした。
ニンニクや味の濃いミンチをかき混ぜて食べるので、ジャンキーな味が中毒性を誘うのですが、台湾らしさはどこにもありませんでした。
卓上の上の昆布酢をかけて食べると味がマイルドになって食欲をそそるので、横浜家系ラーメン好きのぼくには好きな味でしたが、最後まで台湾まぜそばの謎は食べていては解けません。
麺屋はなびのお店のスタッフさんになぜ台湾まぜそばなのか?聞いてみた
やはりここは聞くしかないようです。
「すみません。ぼく、愛知県外から来たんですけど、なんで台湾まぜそばって言うんですか?
するとお店の責任者と思われるスタッフさんが頭を抱えつつも、こう答えてくれました。
「あー……。なぜ台湾まぜそばなのかっていうと、やっぱりルーツは味仙さんの台湾ラーメンになるんですよね。そこで台湾の担仔麺という料理を、名古屋の人に向けにアレンジして出したのが始まりらしいです。
うちがなぜ台湾まぜそばなのかというと、最初ははなびのうちの大将が台湾ラーメンを出そうと思って失敗したのがキッカケなんですよ。
はなびの出しているスープと合わず、失敗しちゃったんですよね。
で、それを前にいたバイトの人が、「麺の上にそのまま具の台湾ミンチを載せればいいじゃないですか?と言って乗せたのが、台湾まぜそばの始まりです。
でもその後すぐに完成したわけじゃなく、たまご麺を別の麺に変えたりして、3〜4年前に今の形に落ち着きました」
なるほど!そうだったんですね。前から麺屋はなびは人気店だったんですが、さらに台湾まぜそばが出来てから看板メニューが増えたそうです。
それで現在は台湾まぜそばのお店としても人気に。
失敗は成功の母と言いますが、まさにその言葉を地でいくお話を聞けて満足しました。
ちなみにはなびでアルバイトしていた女性スタッフは高校の修学旅行先が台湾だったそうですが、それがキッカケで麺屋はなびでバイトをしてるワケではないそうです。
ええ、人生そんなもんですよね。
考察 全ての名古屋台湾飯は、1970年代に名古屋にいる台湾人料理人から始まった
というわけで、台湾メニューを出す名古屋の有名店を三軒まわりましたが、どうやら全てのキッカケは台湾ラーメンを最初に出した味仙というお店にあるようです。
味仙のホームページを覗くと、こんなことが書いてあります。
台湾ラーメンの元祖は名古屋市千種区今池一の中国台湾料理店「味仙」だといわれている。30年ほど前、同店の主人郭明優さん(60)が台湾で小皿に盛って食べる「台仔(たんつー)麺」を、激辛にアレンジして出したのが最初という。
郭さんが台湾出身であることから台湾ラーメンと命名した。当の台湾には似た麺はあっても、同一の激辛ラーメンは存在しないという。
最初は「味仙」の一部の客の間だけで愛されいたこの麺が、急激に広まったのは、激辛ブームに沸いた10年ぐらい前から。辛い食べ物にはやせる効果があるとか、スタミナが付くといった触れ込みもあって、人気に火がついた。
2000年(平成12年)3月16日(木曜日)中日新聞 県内総合市 21面
なるほど、現在ぼくの住んでいる台湾の台南には台湾ラーメンの源流となった担仔麺の有名店がありますが、その担仔麺を台湾人がアレンジしたのが始まりだとは。
このほかにもこんなエピソードもありました。
「最初は従業員のまかない用に作ったものだったんです。
常連のお客さんから“おいしそうだな。食べさせてくれ”と頼まれてメニューに加えることになった。名前は“台湾人が作ったから台湾ラーメンでいいか”と、軽い気持ちでつけたんです。
最初からお客さん向けに開発したメニューだったら、もっとカッコいい名前を考えたはずなんですけどね(笑)」と三代目の郭幸治さん。
なぜ台湾なのか?といろんなお店で聞くと、「激辛台湾ミンチを乗せてるから」と答えが返ってきましたが、そもそも台湾ミンチを作ってラーメンに乗せたのは、1970年代の名古屋にある中華料理屋味仙の台湾人だったんですね。
その台湾ラーメンに乗ってた台湾ミンチが、いろんな名古屋のレストランに広まってしまったのだから、もう仕方ありません(笑)
初めはうさんくさい名古屋の食文化だと思っていましたが、一人の台湾人料理人が日本の名古屋の食文化を変えたと知り、ちょっと偉大さを感じてしまいました。
今回ぼくは名古屋の味仙で食べることはできませんでしたが、次回また名古屋に足を運ぶチャンスがあれば、直接味仙の本店で台湾ラーメンを食べて、できることならお店の人に伺ってみたいと思います。
「味仙の台湾ラーメンがキッカケで、ここまで名古屋に台湾と名の付く食文化が広がったことをどう感じていますか?」と。
ではまた。
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