「日本のおもてなしは世界一」って考えは、どうやら日本人の大いなる勘違いらしいです。そう、フランス人から見たら特に。
こんにちは。現在台湾の台北で暮らしているまえちゃん@Maechan0502です。
2013年に東京オリンピックが決まってからでしょうか。ここ数年日本では「おもてなし」という言葉が流行語大賞を取るまで一般化し、中には「日本の世界一の接客で、外国人をおもてなし!」というキャッチフレーズも聞くようになりました。
たしかにぼくも海外に住んでいますが、日本のおもてなしは素晴らしいです。なんせ昨日も中国製スマホを売る台湾のシャオミストアにて「ちょっと待ってください」の一言で1時間半以上放置プレイされたばかりですし、黙ってもいろいろこっちの気持ちを汲んでくれる日本の店員さんは素晴らしいと思います。
だから「日本のおもてなしは世界一!」と言われても違和感を覚えなかったのですが、最近ぼくはフランス人の友達から「日本のおもてなしは世界一!」という考えは根本的に間違っているじゃないか?と気付かされました。
しかもそれは博多美人について、フランス人の彼に説明したことがキッカケでした。
「え?何で博多美人と日本のおもてなしが関係あるんだ?」
と思われる人がたくさんいるでしょうが、実は大いに関係してくるんです!
というワケで、今回はぼくのフランス人の友達ヤンが教えてくれた「外国人への本当のおもてなし」について、日本人に伝えたくて書いてみました。
ではいってみましょう。
フランス人は博多美人を綺麗だと感じるのか……?
フランス人友達のヤン 21歳。趣味は旅行する国の政治を調べること。やけに安倍首相に詳しい
さて数日前にぼくのフェイスブックにある書き込みが残されていました。書いてくれたのは現在日本の福岡を旅行しているフランス人の友達のヤンです。
フランス人のヤンは福岡旅行する前に台湾のぼくの家に泊まってくれたので、ぼくはこうアドバイスしました。
「ヤン!福岡に行くなんて、めっちゃ良いチョイスしたね。だって福岡は美女がいっぱいだよ。秋田・京都・福岡は日本三大美人都市で有名だから、そこに行けるヤンがうらやましいよ!」
しかし彼は台湾を発ち、福岡に3週間以上滞在したあと、とても驚いた様子でぼくにこう言ってきたのです。
以下、超意訳
「カズ (注:ぼくのこと)、ぼくは福岡に滞在して3週間以上経つんだけど、未だにめちゃめちゃ驚いてる。
ここにきて数人の日本人からキミと同じように、福岡は日本でも有数の美女が住んでると聞いたんだ。
しかしどういうことだい!?あれから何度も何度も福岡の街を歩いているんだけど、全然博多美人が見つからないんだ!
なぜにホワーイ!!!!!」
このメッセージを読んだ瞬間、ぼくの中で瞬時に怒りがこみ上げてきました。
おい、ヤン!オマエは数日前にフェイスブックに福岡浴衣美女に囲まれた写真をフェイスブックにアップしておきながら、福岡に可愛い子がいないとはどういこうことだ!
福岡で美女と戯れて楽しそうにしておきながら、そんな贅沢なケチを付けるとは許さない……。
もうこうなったら戦争だ!今からドイツ人とイタリア人の友達に連絡して、フランス人のオマエと第3次世界大戦するからな!!
……とマジでキレそうになったのですが、しかし心がカームダウンする (落ち着く)と、「あれ?もしかしたら欧米人男性と日本人男性の好みは違うって本当だったのか?」と思ってきました。
たとえば日本人男性が「可愛い、綺麗だ!」と言っている女性が欧米人には人気なかったり、逆に日本人の間では普通だと感じられている日本人女性が欧米人の間で人気だったりするのです。
フランス人のヤンもまさにそのタイプで、日本人男性が綺麗だと思う博多美人の基準は、全く彼のタイプではなかったのでしょう。
そしてぼくは彼と一緒に台湾のレストランに行って、彼が日本式の接客に疑問を投げかけていたことを思い出しました。
同じ日本人の接客でも台湾人は心地よく感じるが、欧米人は不快に感じる
フランス人のヤンと他の友達と一緒に、台湾式しゃぶしゃぶのレストランに行ったときです。台湾人のウェイトレスさんが日本人と同じように深々とお辞儀するのを見て、彼はこう言いました。
「なんであんな風に深くお辞儀するの?Unconfortable (ちょっと不快なんだけど)なんだけど」
そう言って、まるで鳥肌が立ったと言わんばかりに、両腕を抑えるフランス人のヤン。
それを聞いていた他の日本人の女友達はこう言いました。
「ヤン!日本人のウェイトレスはもっともっと丁寧にお辞儀するんだよ。45度も曲げるからね」
「え!?本当に!?もっと信じられないんだけど!なんで、なんで!?」
そう、ぼくら日本人や台湾人がおもてなしだと思ってやっている接客は、フランス人のヤンの心に全く響いてなかったのです。
その会話を見て、ぼくはオーストラリアで1年間住んでいた時にレストランで受けた接客を思い出しました。たしかにオーストラリアでぼくが受けた接客はもっとフレンドリーでした。まるで友達に話しかけるようにメニューを説明し、注文したものを出してくれたら「Enjoy!」と言ってウィンクをしてくれる。
欧米式の接客は日本や台湾と違って、友達のように接するのが良いとされる接客だったのです。
この2つの経験からぼくは、全く外国人と関わったことのない日本人が言う「外国人に対して日本のおもてなしをしよう」という発言は、とんでもない勘違いをしてるのではないかという考えるようになりました。
今の日本の「おもてなし」は、日本人が素晴らしいと思うサービスを外国人に押しつけてるだけ
2020年に開催される東京オリンピックを招致してから、日本ではおもてなしという言葉がしきりに語られています。「外国人観光客に日本の世界一の接客をして、外国人をおもてなししよう!」と声高々に叫んでいる主張も目にします。
しかしぼくら日本人は大きな勘違いしているのではないでしょうか?
フランス人のヤンのように生まれ育った国が違えば、丁寧な接客ではなくフレンドリーな接客を求めてくるし、博多美人を見ても「全然グッとこない」とガッカリしてくるからです。
この写真を見て、
チクショー!贅沢な悩みをかかえやがって!
と怒りたい気持ちはありますが、本当の意味で外国人におもてなしをしたいなら、フランス人の彼に対してレストランではフレンドリーな接客を心がけなくてはいけません。
そう考えると、「日本の世界一の接客で、外国人をおもてなし!」なんて耳ざわりのいいフレーズは、日本人の勝手な思い込みじゃないかとぼくは思うんです。
フランス人のヤンだけではありません。オーストラリアに住んでいた時、マレーシア人でイスラム教徒の友達のアズリーンはぼくにこう言いました。
「昨日お寿司屋さんに行ったんだけど、醤油のラベルを見たら醸造アルコールが入っているから、醤油をつけて食べるお寿司は食べられなかった。私、すっごく残念だったの!」
日本人同士なら醸造アルコールなんて気にもしませんが、イスラム教徒の彼女は非常に気を配ります。
ブルカを被っているのがマレーシア人のアズリーン
しかしぼくら日本人はアズリーンのようなイスラム教徒に対して、そこまで配慮しておもてなしをしてあげられるほど、国際感覚が豊かなんでしょうか?
いえ、まだまだ全然足りてないはずです。
これから2020年に向けて求められている外国人へのおもてなしとは、フランス人を始めとする欧米人にはフレンドリーに接客し、イスラム教徒が多いマレーシア人にはイスラム教で禁じられているハラルなどを、あらかじめ配慮することでしょう。
他にもぼくは台湾人の友達を日本のラーメン屋に連れて行ったのですが、台湾人はしょっぱい食べ物が苦手なので同じラーメンを食べるにしても薄味が好まれて、ぼくは反省しました。
その国々の違いを把握して対応できてこそ、日本人のおもてなしは世界一になれるのではないかと思うんです。
まとめ 本当のおもてなしとは、国際感覚を持った日本人から生まれる
さて現在訪日観光客が日に日に増えています。この動きは2020年の東京オリンピックまで確実に右肩上がりになるでしょう。
ぼくの周りでも「2020年の東京オリンピックまでには英語を覚えてガイドやりたいなー!」ともうすぐ60歳を迎えるうちの父親はつぶやいてますし、「オリンピックまでに訪日外国人向けのビジネスを仕掛けたいんですよね!」という20代の同世代の友達もいます。
そんな話を聞くと、数年先の東京オリンピックへ向けてみんな明るく将来を語り、非常に嬉しく感じます。
だからこそ、ぼくら日本人はもう一歩意識を変える必要があるのではないでしょうか?
日本人が数百年、数千年かけて築き上げたおもてなしは、あくまでも日本人に対して通用するもの。外国人に対して必ずしも受け入れられるものではないのです。
「日本人は丁寧で黙っても相手の気持ちを汲めるから、日本のおもてなしは世界一だ」という発想は、
「福岡は日本三大美人都市の1つに数えられるから、フランス人のヤンも日本人のぼくと同じように喜んでくれるだろう」というぼくが間違えた発想に似てると思うのです。
フランス人、台湾人、日本人の友達と台北にて
だからこそ今ぼくらが身につけるべきは、外国人の文化、歴史的背景を理解する国際感覚ではないでしょうか?そのためには日本にいるのではなく、海外へ飛び出して今こそ外国人と話すべきです。そしてできるなら外国人と一緒に働き、生活して気付くことが多いと、実際に海外で生活しているぼくは感じます。
そう、訪日外国人観光客をもてなそう!と言っていますが、まず今こそ日本人が海外へ出て行き、外国人とふれあって国際感覚を磨いて戻ってきても遅くはないはずです。
そしてその上で、相手の外国人の文化と歴史背景を汲んだ国際感覚と、日本人が大切にしてきたおもてなしを組み合わせてみる。その時に本当の意味で世界中の人を驚かせられる、感動的なおもてなしになるのではないでしょうか?
たしかに年々世界において日本製品のブランド力は下がり続けていますが、まだまだぼくら日本人には世界中の人たちを驚かせられる伸びしろがあると感じるんです。
そして何よりぼくもそんな驚かせる側の日本人になるためと、台湾でもっとこれから頑張ります。
ではまた!
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