世界遺産じゃなくて、奇界遺産を知っていますか?
こんにちは。2015年6月に日本から台湾へ引っ越してきたまえちゃん@Maechan0502です。
さて台湾を訪れるリピーター観光客の悩みと言えば、観光する場所の少なさです。めぼしい観光名所はすでに2、3回あればまわれてしまうし、メジャーな観光スポットの中正紀念堂や台北101は一度行けば充分でしょう。
だから訪台5回目を数えるぼくも、そろそろ同じ悩みにぶちあたってきました。
しかしある日その悩みを一気に解決する本を、日本の本屋さんで見つけてしまったのです!その本が『奇界遺産』でした。
なんとこの本、日本人フォトグラファーが世界遺産には登録できない世界の悪趣味な場所ばかりを集めていて、そのB級感がなんとも言えない味を出しているのです。
しかもなぜか台湾はやたらと奇界遺産に選ばれ場所が多いので、フィリピン英語留学時代の台湾人の友達から台中の行きたい場所を聞かれて、ぼくはこう答えました。
「台中の彩虹眷村に行きたい!台中なんて見るところ何もないけど、日本で一番有名な台中の観光地はケバケバしい絵がたくさんある悪趣味なそこだよ!
キミらの故郷・台中は日本で珍スポットとして有名なんだ!」
別に日本じゃ台中も、彩虹眷村も有名ではありませんが、とりあえず台中愛あふれる台湾人の友達に間違った知識を刷り込んで不安にさせ、ぼくはその奇界遺産・彩虹眷村に連れて行ってもらいました。
では紹介します!
一緒に行ったフィリピン英語留学時代の台湾人友達たち
その前にちょっとだけ紹介を。今回ぼくと一緒に台中の彩虹眷村に行ってくれたのは、2年前のフィリピン英語留学時代の台湾人友達でした。
ぼくは2年前にフィリピンのセブ島の英語留学をしていたのですが、そこで出会ったのが台中出身の男友達のハンソンと、女友達のニッキーです。
ハンソンは仲良くてセブ島で週末の休みに旅行していましたし、ニッキーはオーストラリアワーホリの時に3ヶ月間一緒に住んで、同じ仕事までしていた仲で、ぼくらは久しぶりの再会を喜びました。
今回行く途中で彼らから、「なんで彩虹眷村なんて台中のおかしな場所を日本人が知ってるんだ?」と尋ねられましたが、
「日本人は台湾人が紹介してほしくない台湾を探すのが得意なんだ」とだけ言っておきました。
奇界遺産・彩虹眷村は台中のどこにあるのか?
では彩虹眷村とはいったいなんなのでしょう?
ここを一言で表すなら、極彩色のファンキーすぎる絵がたくさん書いてあるグラフィティアートエリアです。あの太陽の塔を作った岡本太郎以上に芸術が爆発し過ぎて、メルトダウンを起こしていました。
場所は台中の台中市の成功嶺の東側、南屯区の長春エリアです。嶺東科技大学の近くなので、そこまでバスで行って歩いていくか、タクシーで彩虹眷村と言えば連れて行ってくれるでしょう。
実際にその日もタクシーで訪れていた観光客を何人か見ました。
彩虹眷村に踏み入れる
さてクルマを下りると、さっそくケバケバしい色の入り口が目に飛び込んできました。うっ……、暑いし、目が痛いです。まったく何を考えてるんでしょうか?
しかもぼくがボケーっと眺めていたら、いきなり台湾人の女友達のニッキーがポーズをとり始めました。
しかもそれをただ眺めているだけのぼくを見て、彼女はちょっと怒っています。
すると台湾人の男友達のハンソンがぼくを叱ってきました。
「アホ!何やっているんだ。いま台湾では観光地で台湾人女性がモデルのポーズをとるのが流行ってるんだぞ!こんなニッキーのような綺麗な女性を目の前にして、写真を撮らないなんてカズ (ぼくのこと)はバカなのか!」
(……おいおい、冗談はそれくらいにしてくれよ。普段レベルの高い日本人女性を見慣れている日本人のオレに、どうやったらニッキーがモデルに見えるかってってんだ。
オレの視力はまだ眼科に行くほど悪くないぞ)
しかし本音とは裏腹に、気付いたらぼくの身体は急いでカメラを構えて、こう言っていました。
「チッス!今日はモデルみたいに綺麗なニッキーの写真が撮れて、マジで身に余る光栄です!」
「でしょ?わかってるじゃない」
……日本のみなさん。日本を離れて台湾に住み、ちょうど1ヶ月。いまぼくは心の底から日本人女性の優しさと思いやりが恋しいです。
彩虹眷村の絵の様子
彩虹眷村のアートの様子はもうぼくが説明するより、実際に見てもらったほうが早いでしょう。
いかがでしょうか?この原色の極彩色とおかしな顔の絵。
孫悟空や関羽の絵があったり、ぼくにはよくわからなかったのですが、台湾の有名人の絵も描かれているそうです。
日本人の女の子の絵もありましたが、あまりにも似ておらず、外交問題に発展しかねないほどのクォリティーでした。
彩虹眷村の絵を描いた人に会う
さてこの彩虹眷村は黄 (ファン)じいさんという人が、2008年のある日退屈だったのでペンキを片手に自分の家を塗り始めたのがキッカケです。
黄 (ファン)じいさんは元々香港生まれの国民党軍人で、中国大陸での国共内戦に敗走した後、1949年以降台湾に渡りました。
なので、80歳後半になるまで黄 (ファン)じいさんは芸術的な教育を全く受けたことがなかったので、この世にも奇妙なアートが誕生したのです。
最近はもう観光地になっているらしく、ポストカードやバックを売って、商売に精力的でした。さすが中華系の人です。
また台湾人のハンソンが「写真撮りたい?オレが撮るよ」と言ってくれたので、めでたく黄 (ファン)じいさんと写真を撮ることにも成功!
この後ぼくが「わざわざあなたの絵を見るために日本から来ました」と伝えると、めっちゃいい笑顔で笑ってくれました。
いやー、ぼくにとって去年オーストラリアで勝手に独立宣言してるハットリバー王国の国王に謁見した以来の光栄です。
こちらの黄 (ファン)じいさんは、今年92歳になったと言っていました。しかも未だ現在朝3時に起きて絵を書き続けているらしく、このヘンテコな場所は未だなお成長中だそうです……。
おかしな観光地はおかしな人を集める
さて彩虹眷村をくるっと15分ほどでまわると、出来損ないのアイアンマンに出会いました。1日のうちで一番ファッキン・ホットな午後2時に行ったのですが、気温が35度ある時間帯にヘルメット被っているなんて、それだけでクレイジーだとしか思えません。
やっぱおかしな観光地はおかしな人を集めるんだな……、近づかないでおこう。
と心の中で思っていたら、向こうから近づいてくるじゃないですか……。
しかも「写真を一緒に撮ろう!」と言われたので、気付いたら一緒に何枚も写真を撮ってしまいました。
……おかしいな、写真を見たらノリノリな自分が写ってる。
しかもこのアイアンマン、めっちゃ盛り上げ上手で写真撮るのがうまいのです。
「壁ドン」も知ってたし
こんな面白い写真も撮ってくれて、
最後は歌を歌って、ポストカードまでくれました。
いやー、さすがサービス精神旺盛な台湾人です。
ありがとう、アイアンマン。あの時寄付し忘れたけど、ブログでキミのことを日本人に紹介したよ!
アイアンマンに会いたい人は、たぶん土日を狙っていけば会えると思います。
感想 サブカル、B級観光地好きの日本人は絶対行ったほうがいい!
さていかがでしょうか?ぼくもフィリピンの刑務所ダンス、カンボジアの北朝鮮レストランや、オーストラリアから勝手に独立宣言してるハットリバー王国というおかしな観光地をまわってきたのですが、ここもイカした観光地でした。
数年前にもらったら絶対イヤなみやげもの「いやげもの」を日本全国から集めているみうらじゅんが、自分のコレクションをパルコで展示会したことがあります。
その時に
「1つだけだとバカにされるけど、圧倒的な数があれば、見る人が勝手にすごい!と勘違いしてくれる」
とコメントしていましたが、ここ彩虹眷村の絵もその典型的な例です。
これらの落書きも1枚だけ額縁に飾られたら、ただの子ども以下の落書きだとみんな鼻で笑うと思いますが、数軒の家にまたがって描かれた風景は圧巻でした。
彩虹眷村もカッコ良くいえばアウトサイダーアートなんでしょうが、ぼくは珍スポ (珍スポット)だと思ってみんな行けばいいと思います。
現在の女性雑誌が牽引するオサレな台湾ブームにまどわされず、もっと台湾人が「頼むからここには来ないでくれ!台湾の恥だから!」と言われるくらい、おかしな場所をこれからも紹介していこうと思います。
台湾は奥深くて面白いところですよ!
ではまた。
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