安彦良和の『麗島夢譚』は台湾の歴史をマンガで学べる最高の歴史教科書



台湾の旅行ガイド本って、普通のガイド本だけではなく、歴史マンガも読むと面白くなるって知っていましたか?

どうもこんにちは、台湾在住4年目のまえちゃん@Maechan0502です。

台湾旅行に限らず、旅先で遺跡を眺めて「ただの古い建物」と思うか、「かつて住んでいた人のストーリーに思いを寄せられるか?」は、その人の歴史の知識に関わってます。

ただ「歴史をガイド本や小説、専門書で読もうとすると、時間がかかりすぎて大変……」という声がわかるのも事実。

そこで今回ぼくが紹介したいのが、台湾の歴史が始まる17世紀(約1600年代)を描いたマンガ、『麗島夢譚(うるわしじまゆめものがり』です。

マンガなので読みやすいし、作者はあの『機動戦士ガンダム』のアニメやマンガに大きく関わったあの安彦良和!

台湾初期の歴史を楽しく読めるのはこれがベストなので、紹介します。

ではどうぞ。

目次

『麗島夢譚(うるわしじまゆめものがり』とは?

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『麗島夢譚(うるわしじまゆめものがり』とは、台湾の初期の歴史を描いた全4巻のマンガです。

あらすじはこんな感じ。

時は江戸時代初期。

実はキリシタンの天草四郎は、島原の乱を生き延び、台湾にいた。

天草四郎を生かして、政治利用したいと思う外国人の思惑により……。

その天草四郎をめぐって日本の海賊(倭寇)や、台湾に拠点を持ち始めていたオランダ、スペイン。現地の台湾原住民や、中国大陸の明帝国まで関わって、台湾で冒険劇を繰り広げる。

というお話です。

全4巻なので、ところどころ話をはしょったり、説明不足の箇所もあるんですけど、ちゃんと最後まで話がまとまっています!

以下、若干のネタバレありなのですが、このマンガの魅力を台湾に住んでいるブロガーのぼくから熱く語ってみたいと思います。

台湾の歴史が始まる1600年代が舞台になっている

このマンガが興味深いのは、1600年代初頭の台湾が舞台になっていることです。

それまで台湾の原住民しか住んでいなかった台湾ですが、この1600年代(日本は1603年に江戸幕府が開かれる)のはじめに、いろんな国の人が台湾に住み始めました。

スペイン、オランダ、中国の明……。今も台湾に残っている遺跡はこの時代に建てられています。

その登場人物がまとめてマンガにキャラクターとして登場するので、すごくわかりやすいです。

しかもマンガのキャラクターなので、専門書で「台湾でスペイン人が〜」と書かれるよりも「腰抜けなスペイン人キャラ」、「こざかしいオランダ人キャラ」が出てきて、より印象に残りやすくなります。

台湾初期の歴史はいろんな国の人が関わってきて複雑なので、これをマンガで楽しく読めるのが面白いところでしょう。

台湾の歴史初期にオランダとスペインがいた理由がわかる

さらに一歩踏み込んで説明すると、なぜ台湾にオランダ人やスペイン人がいたのか?という理由も、このマンガを読むとわかります。

1600年代は世界史の大航海時代!オランダやイギリスが東インド会社を設立し、少し前の時代はスペインが世界の覇者として君臨していました。

そのヨーロッパ諸国は中国(明)と日本(江戸幕府)と貿易したかったので、その食料や水の補給地として台湾を選んだんですね。

どちらの国にも行きやすく、かつ台湾はどこ国からも支配されていなかったので、台湾に長い船旅の中継地点を築いた両国。

ここの時代背景もマンガのストーリーで自然と理解できます。

このあたりの台湾の複雑な歴史は、マンガで読んだほうが絶対理解しやすいでしょう。

台湾の歴史には欠かせない明朝の鄭芝龍・鄭成功親子も登場

スペインとオランダ。その次に台湾に大きく関わったのが、中国・明の鄭芝龍や鄭成功の親子です。

これもバッチリとマンガの中に登場します!ここもすごい!

清朝という中国最後の帝国に倒されようとしていた、当時の明朝。

これを追い返そうとしたのが、鄭芝龍(父)や鄭成功(子)の親子なんですが、実はこの鄭親子の妻・母が、長崎の平戸出身の日本人なんです。

そんな鄭芝龍や鄭成功についても学べるこのマンガ!

しかも台湾だけでなく、日本の長崎も重要な舞台になっているので、日本と関わり合いが深いのもしっかり学べます。

台湾を旅行すると、あちらこちらに鄭成功の銅像が建っており、道の名前も鄭成功の名前をとって「成功路」と名付けられていますが、このマンガを読んだ日本人なら思い入れが湧くことでしょう。

日本人が主役になっているので、台湾が舞台でもわかりやすい

オランダ、スペイン、中国人ばかりで、日本人が全然出てないじゃないか!

ここまで読むとそう思ってしまうかもしれませんが、ご安心を!

このマンガの主役はちゃんと日本人です(笑)

主人公は日本の海賊(倭寇)だし、キリシタンの宣教師の天草四郎も出てきます。

あとはマンガらしく何故か台湾に宮本武蔵も出てくるので、台湾でチャンバラシーンがあり、アクションマンガとしても楽しめます。

何より日本人キャラクターが間に入ることで、1600年代の日本史、世界史、台湾史が串刺しで理解できることが面白い!

台湾の歴史が始まる頃は、日本が徳川家光の時代で鎖国し始めてて、スペインやオランダ、イギリスが大航海時代で、中国大陸では明朝が滅びる頃だったんだなぁと理解できます。

これぞ、知的興奮!ここにあり!です。

4巻でコンパクトに話が破綻せず、感動的にまとまっている

『麗島夢譚(うるわしじまゆめものがり』はたった4巻のマンガです。

この巻数は少年ジャンプだと打ち切りレベルですが、そこは機動戦士ガンダムのアニメとマンガに関わった安彦良和先生!

しっかり伏線を張って、最終巻のラストで回収されています。

ぼくはラストシーンですごく感動しました!

ちょっと最後のあの人物は説明不足かなぁと思ったりするんですが、そこは巻数的にしょうがないのかもしれません。

Wikipedeaで調べることをオススメします。

あと『機動戦士ガンダム The Origin』の作者として、シ○アっぽいサービスカットモデルので、ガンダムファンは探してみてください(笑)

注意点は多少残酷な描写があること

ここまでいい点を述べてきたんですが、このマンガの注意点は残酷な描写が多いことです。

人が切られて、「ギャー!」的な描写も遠慮なく描かれているので、そこは気をつけてください。

『ゴールデンカムイ』などの残酷描写まではいきませんが、人を斬るシーンは出てくるので、そういうシーンが苦手な人は見ないほうがいいかもです。

まとめ 『麗島夢譚』は台湾を舞台にしたマンガの傑作!

というわけで、『麗島夢譚』のレビューはこんな感じです。

台湾を舞台にしたマンガは全然出ておらず、舞台になっていてもストーリーの一部分(『拳児』や『太陽の黙示録』)なので、『麗島夢譚』はそこが面白いと感じます。

あと今回は台湾の歴史ガイドマンガとしてピックアップしてしまいましたが、ストーリー的にも面白いので、安心してください。

(4巻のキリシタン弾圧に反発するセリフなど、すごく感動的です)

面白いマンガですが、台湾の歴史ガイドとしてもためになるので、購入して損はないはずです。

ではまた!

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この記事を書いた人

職業HP制作業者、ライター、ブロガー。北海道札幌市在住。ブロガーやライターとして培ってきた取材インタビュー能力を活かし、お客様に自分達の商品・サービスが伝わるHP制作業を営んでいます。

過去に1年間のオーストラリアワーホリ、4年間の台湾在住、コロナ禍で帰国。神奈川県横浜市から北海道札幌市に移住し、暮らしています。

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