「ねえねえ、台湾って、みんな台湾語をしゃべっているんでしょ?」
「あ!そうですねえ(実は違うんだけど、説明難しいなぁ……)」
どうもこんにちは、台湾在住4年目のまえちゃん@Maechan0502です。んです。
そうです。日本の友達が上のような台湾語のイメージを持っていたら、いちいち訂正するのが面倒くさくて流してきたぼくなんですが、すみません!
実は台湾の公用語って、台湾語じゃないんです。
ただ、「中国語、台湾語?」っていう2択でも片付けられないし、他の言葉も使われています。
そして台湾人の世代によっては、実はぼくらが話す日本語を日常的に使っている人もいるんです。
この記事では台湾在住3年間のぼくが、なるべく日本人にもわかりやすいように紹介してみました。
ではいってみましょう。
台湾人の全員がしゃべれるのは中国語(台湾華語)である
「台湾では何語がしゃべられているの?」
この質問を結論から返すなら、台湾人全員話せるのは中国語です。
1946年から台湾の学校では、中国語が教えられるようになりました。
だから街中で台湾人が話しているのは中国語だし、これが台湾全土で使われている言葉です。
台湾で話されている中国語は、日本で言えば日本語の標準語にあたると言えばいいでしょうか?
台湾人の話す中国語は、中国本土でも通じるので、日本人が大学で習った中国語を話しても通じます。
ただ台湾で話されている中国語は、ちょっと台湾人の間で独自の形になっているので、日本の大学などで教えてもらう中国語とは少し違うのがポイントです。
「おはよう(早上好)」 中国大陸式
「おはよう(早安)」 台湾式
ぼくも日本の大学では中国の上海出身の先生に、「おはようは、早上好(ザオシャンハオ)と言います」と習いましたが、台湾人はそう言いません。
台湾人は「早安(ザオアン)」というので、ちょっと日本で習ったはずの中国語が一部通じないです。
ただ少しの違いはあるけど通じるので、感覚的には東京の人と関西の人が話す標準語での会話レベルだと言えるでしょう。
と、ここまで説明したらこう思う人もいるはずです。
「じゃあ台湾語ってなんなの?」と。
台湾語などは台湾で方言的な位置付け
中国語は、台湾人全員が話す言葉。では、台湾語とはいったいなんなのでしょうか?
これは日本人にわかるように説明すると、台湾語は台湾で話されている方言的位置付けです。
方言なので、台湾語以外にも台湾で話されている言葉は、いくつかあります。
それが以下の3つです。
- 台湾語(祖先は閩南(びんなん)人。台湾人の約75%のグループ)
- 客家語(祖先は客家(はっか)人。台湾人の10%のグループ)
- 原住民語(祖先は原住民。台湾人の1%のグループ)
祖先によって、台湾語を話したり、客家語を話したりするので、その違いを一つ一つ紹介します。
台湾で話される台湾語について
【ぼくの友達の台湾人Nicky 台湾語はちょっと話せる】
まず台湾語です!こちらは台湾の中で、約76.9%が話せる言語であります。
台湾語は、中国の福建省地域で話されている閩南語(びんなんご)がルーツです。
だから台湾語が話せる人は、中国大陸のこの辺りから台湾に渡った人を祖先に持ってます。
・若い人より中年以上のほうが話している。
・外では中国語話すけど、家の中での会話は台湾語話す。
・台北よりも南部台湾(嘉義、台南、高雄など)で日常的に使われる(ぼくの住んでいる台南の近所話に使われているのは台湾語です)
という特徴があります。
イメージ的に50代以上は台湾語をしゃべれる人が多いけど、30〜40代は流暢にしゃべれなくなっていき、20代以下は全然しゃべれない人も多い印象です。
ぼくの友達も、1980年代に生まれた台湾人は台湾語が少ししゃべれるけど、1990年代に生まれた台湾人は全然しゃべれない人も珍しくありません。
一部の台湾語と日本語は本当に似ている
あと日本統治時代(台湾植民地時代 1895〜1945年)の影響で、一部の台湾語は日本語が混ざっています。
閩南語に日本語が混ざったのが、台湾語と呼ばれるようになりました。
だからいくつかの台湾語は、日本語とだいぶ似ています。
たとえば、おでんという単語でしょう。中国語では「黒輪(ヘイルン)」と発音するのに、台湾語では「黒輪(オールン)」と発音するのです。
ぼくも台湾人の友達リリーの前で台湾のおでんを見て、「あ、おでんだ!」と日本語でつぶやいたら、
「え?なんであなた、台湾語しゃべれるの?」とビックリされたことがあります。
このように台湾語がわかる台湾人には日本語(台湾語に混じった日本語)が通じるので、よかったら旅行中に試してみてください。
台湾で話される客家語について
【ぼくと同世代の台湾客家人の友達 あまり客家語はしゃべれないそう】
次に客家語(はっかご)です!客家人(はっかじん)は台湾のなかで全人口のうち12%を占めています。
客家人は中国のユダヤ人と呼ばれるグループです。もともと中国の中原に住んでいた人たちが、数千年かけて6度に及ぶ移動をして、最後に台湾に渡ってきました。
だから数千年前の言葉をルーツに持つ客家語は、古語の中国語に似ています。現在の中国語にも台湾語にも全然似ておらず、別の言葉ともいっていいくらいです。
客家語も話されているので、「台湾では中国語や台湾語が話されている!」とは言い切れません。
ちなみに客家語も台湾のおじいさん、おばあさん世代が一番得意としている言葉です。
40〜50代の客家人が一番使うのは中国語で、家族で話すときは客家語、時には台湾語も話すという感じになっています。
でも10〜30代のぼくの台湾の客家人の友達は客家語を全然しゃべれないので、徐々に失われていっています。
【関連記事】
中国のユダヤ人と呼ばれる客家人。台湾の屏東縣にある客家人の街・内埔(ネイプー)を訪ねてみたので、レポートしてみた
https://maeharakazuhiro.com/neipu-guide/
原住民の言葉について
【原住民の血が半分入っている台湾人のビビアン・スー】
台湾語と客家語は、1600年年代から1800年代の間に中国大陸から台湾島に渡ってきた人が話す言葉です。
しかし台湾は無人島だったわけではないので、数千年前から住んでいた人がいました。
それが台湾で原住民と呼ばれる人たちです。1990年の調査では全人口のうち、1.4%を占めていました。
ただ確認されているだけでも16以上の部族があり、部族ごとに話されている言葉は違うので、様々な言語があります。
2010年の統計では、原住民はほぼ全員中国語を話せ(95.5%)、原住民の言葉を話せる層が半分くらい(53.3%)、台湾語を話せる層が3分の1(30.3%)、客家語を話せる層が2%だと政府の統計から報告されています。
原住民にも独自の文化と言葉があるので、「台湾は中国語と台湾語が話されている!」と一括りにできません。
ちなみに台湾の原住民の人はマレー系なので、どちかというとフィリピン人やマレーシア人、インドネシア人と顔つきが似て、彫りが深いです。
30代以上の日本人が知っているビビアン・スーは台湾人ですが、半分台湾原住民の血が入っています。
台湾で話される日本語について
【日本植民地時代(日本統治時代)に教育を受けた台湾人のおじいさん。この世代の日本語は日本人と言われても気づかないレベル】
で、最後に紹介したいのが日本語です!
え?これで終わりじゃないの?と思った人もいるかと思うかもしれませんが、実は台湾でも一定層が日本語を話すんです。
歴史を振り返ると、台湾は1945年までの日本の植民地(日本統治時代)でした。
当時の台湾は公用語が日本語だったので、学校で日本語が教えられたんです。だから現在80歳以上の台湾のお年寄りは、今でも日本語を話せます。
この人たちが今でも集まって話す場では日本語が使われているし、80歳以上のお年寄りは夫婦間の会話では日本語を使っていたりします。
ぼくも台湾でボランティアをして関わるんですが、実際にある台湾人のお年寄りは「うちの夫婦の会話は日本語だよ」とぼくに話したくれました。
しかも台湾人のお年寄りは1945年以降、新しい言葉を勉強していないので、日本の若者のぼくが聞くとすごく綺麗な日本語を話してくれます。
高齢化によりだんだんと日本語を話せる台湾人のお年寄りは少なくなっているので、もし興味がある人は早めに台湾に来て、交流することをオススメしたいです。
いろいろ歴史の事情がありましたが、今でも日本語が話せる台湾のお年寄りと実際に話すと、すごく感動します。
まとめ 台湾人全員が話せるのは中国語。世代やルーツによって話せる言葉が違う
というわけで、どうでしたでしょうか?
まとめると、台湾人が全員話せる言葉は中国語です。その上でルーツによって、話せる言葉が違います。
- 台湾語(祖先は閩南(びんなん)人。台湾人の約75%)
- 客家語(祖先は客家(はっか)人。台湾人の10%)
- 原住民語(祖先は原住民。台湾人の1%)
それぞれのグループが、台湾語や客家語、原住民の言葉を、日本の方言のようにしゃべれるのが特徴です。
また世代によって教育が違うので、80歳以上のお年寄りは日本語が話せるし、逆に30代以下は台湾語や客家語があまり話せなくなっています。
個人的には、まだ日本語を話せる世代がいるので、ぜひ台湾旅行に来たら日本語を話せるお年寄りと話してみてほしいです。
それが今だけしかできない台湾観光になりますので。
それでは楽しい台湾旅行を。
ではまた。
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