
日本の魅力って京都や着物、アニメばかりだと思い込んでいませんか?でも日本に来る台湾人は日本人が予想もつかない場所を観光名所としていくんです。
こんにちは。2015年12月に台湾の南部、台南に引っ越してきたまえちゃん@Maechan0502です。
さてぼくは台湾人と知り合って3年間近く経つのですが、親日の彼らと親しくなるにつれて、彼らが予想を超えた日本の場所へ観光旅行へ行っていることを知りました。
もうぼくからしてみれば、……なんで日本のそんなところを知っているの?という感じなのですが、彼らが行く日本の観光地が予想の斜め上を行ってたので、紹介したいと思います。
台湾人にかかればとある日本のラーメン屋が観光名所と化し、海の目の前の踏み切りで写真を取り出すのです。
では行ってみましょう。
1.神奈川県鎌倉市の鎌倉高校前踏み切り

この写真の踏み切り、あるアニメのオープニングで見た記憶がありませんか?
ええ、「ある!」ってうなずいてくれた方は、間違いなく頭の中に「君が好きだと叫び~た~い!」という歌詞がリピート再生されていることでしょう。

1990年代に週刊少年ジャンプに連載された王道バスケットボール漫画、『スラムダンク』のアニメ版オープニングでおなじみのワンシーンです。
しかしここ数年、このなんの変哲もないモデルとなった神奈川県鎌倉市の江の電が走る踏み切りまで、台湾人が一斉に押し寄せています。
そう、なぜなら日本でスラムダンクが放送されていた時と同じ時期に、現在30代前後の台湾人もテレビの前で日本のスラムダンクのアニメに熱狂していたからです。
その認知度と人気は凄まじいほどで、以前ぼくがオーストラリアで一緒に暮らしていたバスケットボール好きの台湾人KGは、こう言い切りました。
左が台湾人のバスケ好きのKG、右が日本人のぼく
「カズ (ぼくのこと)、オレは日本に行ったことないけど、日本に行ったら最初にここに行きたい。なぜならスラムダンクはオレのバイブルだからだ!」
(え、そこ、ただの踏み切りじゃん……)
神奈川県に住むぼくはビックリしたのですが、たしかにアメリカのプロバスケットボールリーグはしょっちゅう見てるし、台湾ではバスケットボールが野球と並ぶくらい人気の2大スポーツです。
未だに台湾ではバスケットボールシューズを買うために行列ができるし、街を歩いてもNBAのユニフォームを着てる人もたくさん。
アメリカのプロバスケットボールリーグに熱中する台湾人にとって、同じくバスケットボールに夢中になるキッカケを与えてくれたスラムダンクが味わえる湘南の風景には、ぼくら日本人には見えない憧れが詰まっているのです。
北海道で見る雪の世界

スラムダンクの踏み切りは一部の台湾人にとって有名な聖地ですが、すべての台湾人にが一生に一度は見てみたい景色があります。それが雪です。
なんせ沖縄の先にある九州サイズの台湾島は熱帯と亜熱帯に分布されるので、雪が一切降りません。例外として台湾にある4,000メートル級の山の玉山などの高山には雪が降りますが、雪を見るために山登りする人間はごくわずか。
なので、多くの日本人にとっては当たり前の雪が、憧れの景色になります。
特に北海道は憧れの場所で、ぼくの台湾人女友達のかんこちゃんも北海道に仕事で行って、雪の中ではしゃいでました。

「私、北海道から帰りたくなかった!」
と台北に帰ってからぼくの前でコメントしてるところを見て、(うーん、雪の面倒くささをわかってないんだろうな)と思ったりしたんですが、旅行でその国のいい面ばかりみるのはどの国の人でも一緒のようです。
ちなみに数年前に北海道へ押し寄せた台湾人が、北海道限定のお菓子のじゃがぽっくるをおみやげに買い占め、台湾にじゃがっぽっくるブームを巻き起こしました。
台湾人のかんこちゃんが札幌で作った雪だるま。
日本人は雪国の観光と言うと、やれスキーだ、スノボーだ、雪祭りだ!とコストのかかるイベントを考えがちですが、世界には台湾人のように「雪を見ただけで感動する国民もいる」という事実を知ってほしいです。
そういう人たちを中華圏や東南アジアから日本の雪の降る地域に連れてくるだけで、だいぶ観光戦略が変わるんじゃないでしょうか?
福岡発祥で伝説的ラーメンと評される一蘭ラーメン

2年前のことでした。ぼくが台湾にある超有名店の「鼎泰豐 (ディンタイフォン)の小籠包が美味しい!」とコメントしたところ、フィリピン英語留学で出会った台湾人男友達のアフーやケンはこう小バカにしてきたのです。
「ハア、なんであんな高いところに小籠包食べに行くんだ。もっと安くて美味しい小籠包は他にもあるのに、わかってない日本人だな」
当時は複数の台湾人から「オマエの舌はわかっちゃいない」とダメだしされ、内心イラっと来たのですが、2年後にぼくは日本に来た台湾人が必ず福岡発祥の一蘭ラーメンを食べに行くことを知りました。
さらに替え玉付きで980円もするバカ高い一蘭ラーメンを、「日本の伝説的ラーメン屋だ!」と言ってありがたがることまで知ったのです。

「オイ、キミらはさんざん人のことをバカにしておいて、何が一蘭ラーメンが日本の伝説的だ!?あれは単なる日本の地方ラーメンの一つだからな!しかもうまいけど高いから、一部の人間はぼったくりだって酷評してるんだぞ。一蘭なんて、台湾の鼎泰豐 (ディンタイフォン)のラーメン版じゃないか!」
それを知ったぼくは全力でクレームをつけたくなったのですが、1人で叫んだらただのアホな人。ぼくの叫びは届かず、今日も初訪日した台湾人は日本の一蘭ラーメンに通い、Facebookでその伝説的味を絶賛しています。
つい最近も見かけた台湾人友達の絶賛のコメント。
おそらく一蘭ラーメンが券売機でチケットを買い、紙に書いて台湾人好みの薄味をオーダーするスタイルが台湾人にマッチしていたと思うんですが、単なるラーメン屋も台湾人好みでであれば日本の観光地と化す興味深い例だと思いました。
日本で食べる(有名店の)西洋料理

日本に来て食べる楽しみな食べ物とはなんでしょうか?寿司?ラーメン?天ぷら?
しかしぼくの台湾人の友達、アイリスは日本人が予想もつかない日本の魅力を教えてくれました。
ある日、ぼくが日本へ出張中のアイリスに、日本で美味しい食べ物を聞いたらこんな回答が返ってきたのです。
アイリス:日本式の料理、めっちゃ美味しい!
ぼく:え?何食べたの?
アイリス、日本のレストランで撮った、どっかの国のビールと料理の写真を送ってくる。

ぼく:……いや、それ日本の料理じゃないからね。
アイリス:でも本当なんだもん。台湾で西洋料理食べても、この美味しさ出せないから!
ぼく:……。(なんか感動してほしい日本文化が違う気がするけど、まあ喜んでくれてるからいいか)
そう、台湾人のアイリスが教えてくれた日本人の知らない日本の魅力。それは日本で食べる外国の料理のうまさです。日本人の手にかかれば、外国の料理でも抜群に美味しくなるのは誇るべきポイントでした。
たしかに台湾でパスタ食べると美味しくないことが多いし、ほかの国の料理まで美味しいと思える経験は海外で少ないです。

また台湾の台北でラーメン屋をやっている日本人出口さんの奥さんのボニーは台湾人なんですが、以前こう言いました。
「日本のいいところは、アメリカやヨーロッパにある有名レストランの支店があるところ!東京行ったら、そこのレストランに行くのが楽しみ!アメリカやヨーロッパまで行くのは遠いしね」
思わず日本人の出口さんとぼくは複雑な気持ちでうなってしまったのですが、これもまた日本の魅力なんでしょう。
兵庫県宝塚市の宝塚歌劇団と変身写真

さて留まるところを知らない台湾人のディープジャパン観光。いろいろと紹介してきましたが、時にはぼくら一般の日本人が理解していないジャパニーズカルチャーまで観光地になります。
その一つが宝塚歌劇団です。
実は宝塚歌劇団、2013年、2015年と2回も台湾公演を行っており、その台湾公演チケットがたった数十分で売り切れるほど台湾で人気なんです。

そして先日ぼくの台湾人女友達のアリソンさんは、ついに憧れていた彼女の聖地、兵庫県宝塚市にある宝塚大劇場に足を運ぶことに成功しました。
S席、8,300円のチケットを購入してウキウキで鑑賞。
さらに2万円以上する宝塚変身写真を撮って、大興奮、大満足の様子。ぼくは日本人だけど、宝塚で変身写真が撮れるなんて知らなかったです……。

ちなみに撮った写真を見て、ぼくが「あ、『ベルサイユのばら』のマリーアントワネットですね」とコメントしたところ、「違います。同じマリー王妃ですが、これは宝塚公演の定番『1789』のドレスです」とすかさず訂正が入りました。
日本人より詳しすぎるよ……。
現在日本のミュージシャンやロックバンドは縮小する国内マーケットに背を向けて海外志向ですが、ここまで熱狂的なファンが台湾にいると、観劇なども充分グローバル展開ができるんじゃないでしょうか?あたらめてぼくは日本文化の底力を感じました。
まとめ ぼくは日本人がすごいのではなく、台湾人がすごいと思う
右が台湾人友達のヴィンシー
さていかがでしたでしょうか?日本の魅力というとぼくらは京都、和食、お寺、着物、アニメ、漫画……etc という定番なものばかりを思い浮かべてしまいます。
しかしぼくが日本に来る日本好きの台湾人の友達を通して気付かされた日本の魅力は、さらに幅が広い想像をしてなかった部分でした。
現在中国本土から来る中国人は爆買いに走っていますが、台湾から来る台湾人は日本文化まで楽しんでくれています。スラムダンクの踏み切りや宝塚は日本の伝統文化じゃないかもしれないけれど、これもたしかにぼくらの日本文化。
そう考えると、いまの日本は爆買いする本土の中国人をありがたがっていますが、本当に目を向けてるべきなのは日本文化まで理解してくれる台湾人じゃないかと思うのです。
現在は円安だから中国人は日本に来てショッピングを楽しんでくれていますが、円高に振れればこなくなるかもしれません。でもスラムダンクや宝塚などの日本文化が好きなぼくの友達は、これからも日本に来てくれるでしょう。
日本人がフランスのパリを憧れの海外旅行の地だと考えるように、台湾人の日本への憧れの気持ちは値段では割り切れないんだ。
最初に「何で台湾人は踏み切りで写真撮るんだよ!」と笑っていたぼくですが、台湾人のその憧れの気持ちに気付いた時、今度はぼくが台湾人をもっと深く理解すべきじゃないかと反省しました。
そして今はもっと多くの日本人に、日本が好きな台湾人を知ってほしい。そう思って、これからも台湾と台湾人を紹介しようと思いました。
日本と台湾がもっと近い国になって、いつかここに挙げた観光地で日本人が「あ、台湾人?」と声をかける日が来たら素敵だと思います。
ではまた。
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