パクリiPhoneを売る中国企業シャオミを笑うぼくらこそ、国際感覚のない痛い日本人かもしれない

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いま中国メーカーが作る中国製品を「プッ。低品質のメイドインチャイナ!」ってバカにする日本人は、マジで情報弱者だと思います。

こんにちは。2015年6月に日本から台湾へ引っ越してきたまえちゃん@Maechan0502です。

そう、今ある中国のスマホメーカーの勢いがヤバいんです。その企業の名はシャオミ (小米)。2015年現在1位サムスン、2位アップル、そして世界第3位の地位までたった5年で上り詰めた今注目の中国スマートフォンメーカーです。

このメーカーはAndroidなのに外見も中身もiPhoneそっくりのパクリ製品を出すことで有名なんですか、徹底的なコストダウンをはかり、アップルやサムスンと同性能のスマホを3万円台で売りさばいてます。

そして2015年の8月には台湾に旗艦店の小米之家をオープンさせ、いま中国人嫌いの台湾市場でユーザーのハートをガッチリ掴もうとしているのです。

この状況を見て日本人は、「パクリiPhoneを出す会社の製品を使って、台湾人は何が嬉しいんだ?」とバカにするでしょうが、ぼくはこれを決してバカにできないと思います。

なぜなら台湾で直にシャオミの人気を見ると、日本人が想像する「パクリiPhoneを出す中国企業」とは180度違うイメージだからです。

日本に住んでいる日本人にはシャオミの勢いもすごさも全くわかっていないし、いま中国企業を笑っているぼくら日本人こそ、国際感覚のなさを世界の人たちから笑われる立場なのではないでしょうか?

今回はぼくが台湾で肌で感じたシャオミのスゴさを紹介します。

目次

そもそもぼくがシャオミを知ったキッカケは台湾人友達だった

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さてシャオミーという中国企業の名前を聞いて、どれほどの日本人がその名前を知っているのでしょうか?とにかく日本では全く情報が入っていない謎の中国スマートフォンメーカー・シャオミ。

日本のネット上ではAndroidなのにiPhoneそっくりに動かすソフトを再現し、パクリiPhoneだとバカにされています。ぼくもシャオミがパクリiPhoneを出している会社なのはは知っていました。

Appleのコピー製品で成功したXiaomiの偉大なパクリ実績まとめ | gori.me(ゴリミー)

しかしぼくが「実は中国企業のシャオミの存在が熱いのではないか?」と感じたのは、やたらとまわりの台湾人が使っていたからです。台湾人は政治的背景から中国と中国人を心の底からバカにする人が多いのですが、このシャオミーはどうやら違うことに台湾生活を通して気付き始めました。

Taipei my house 09

たとえばぼくは現在2ヶ月ちょっと台湾に住んでいるのですが、ぼくの住んでいる部屋は4階にあり、まったくWi-Fiの電波が届きませんでした。そこで台湾の秋葉原と言われる電気街でWi-Fiをつなぐ台湾製の周辺機器を買ってきたのですが、これが全然使えなかったのです。

そして困ったぼくは台湾人の友達のケンに相談したら、こう笑われました。

DSC04646ぼくの台湾人友達 ケン この写真を撮った時にぼくはバカにされた

「なぜこんなファックな台湾製品を買ってきたんだ。シャオミを買うんだ!あれのWi-Fiをつなげる機器を買えば簡単につなげるのに、バカだなぁ。」

(あん?シャオミはケンの大嫌いな中国企業の製品だろ。ファックチャイナ!とかよく言ってるじゃん)

ぼくはバカにされたのにいらだち、心の中で毒づいたのですが、中国嫌いなぼくの台湾人友達をトリコにするシャオミの実力に初めてぼくは驚きました。

さらにオーストラリアで出会った台湾人友達のキャスパーも、台湾に帰ってきたらシャオミーユーザーに変わっていたのです。1年前に出会ったオーストラリアでは台湾メーカーのHTCを使っていたのに、台湾で再会したら中国メーカーのシャオミを使っていたのが衝撃でした。

DSC01147オーストラリアで出会った台湾人友達のキャスパー

「キャスパー!これシャオミじゃん!!え?そんなに良いの?」

彼は中国製を使っていることに恥を感じたのか、かなり嫌がりながらこう言いました。

「……ぼくの台湾人の友達も「シャオミは中国企業だから、オマエのスマホ、いつか爆発するからな!(笑)」ってバカにしてくるんだけど、でもけっこう使えるんだよね。1万円くらいで買えたし……」

……あれ?おかし過ぎる。台湾人は台湾パソコン企業のAsusやAcer、スマホメーカーのHTCのナショナルブランド (国産製品)愛好者が多いはずなのに……。

ぼくの知る限り、2年前は誰も台湾人はシャオミなんて言い出さなかったのに、わずか1年でここまで浸透するなんて信じられませんでした。この実力はパクリiPhone企業といえども、ひょっとしたらバカにできないんじゃないか……?

異変を感じたぼくは、この謎の中国企業シャオミが気になり、ついに2015年8月にリアルの実店舗で触る機会に恵まれました。

微妙だと感じながら、気に入ってしまったシャオミ製品

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2015年8月7日。台湾の台北でシャオミストア (小米之家)がオープンしました。そこでぼくも1週間後に足を運んでみたのですが、ぼくは入って早々、店の内装にガッカリしました。なぜならアップルストア丸パクリの内装はまだ知っていたから我慢できるとして、店のいたるところ置いてあるマスコットのぬいぐるみにレベルの低さを感じたからです。

一言でいえば、スマホと一緒にマスコットを売るシャオミーの戦略は非常にダサく、アップルをパクる以外の独自戦略は洗練されてないと思いました。

しかし店に展示してあるシャオミ製品の値段にはビックリしてしまいました。

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  • iPhoneと同じ部品を使っていると言われるフラグシップ機 Mi 4の16GBモデルが6499台湾ドル (約24,400円)
  • シャオミ版iPhone6sと呼ぶべき小米noteの64GBモデルが12,499台湾ドル (約47,000円)
  • 格安モデルのRed mi2の8GBが3,299台湾ドル (約12,400円)

現行のiPhoneやサムスンのギャラクシーにも劣らない品質のスマホが、3万円以下で売っていたのです。しかも触ってみると本当に精巧にiPhoneの動きを再現しています。安いモデルは1万円くらいで買えるし、これなら台湾人の友達が買った理由もわかりました。

Xiaomi store 0412千円以下で購入できる身体計測デバイス

さらにシャオミはアクセサリーも高品質・低価格で充実しているのです。イヤフォンやスマホの充電バッテリーも2千円から3千円で売っていたし、自分の心拍数や運動量を計れるアップルウォッチの一部の機能を再現した腕輪もたった2千円で購入できます。

またアフターケアもバッチリ。故障したらシャオミストアに持っていけば、たった1時間で修理してくれるんです。

ぼくも気になっていたイヤフォンを自分で購入しましたが、6千円で購入したゼンハイザーのイヤフォン以上の音質をたった2千円のシャオミイヤフォンが鳴らしてくれて、心の底から中国企業のイメージを見直さざるをえませんでした。

そしてこのシャオミがなぜぼくの台湾人の男友達の心を捉えているのか、やっと理解できた気がしたのです。

シャオミをバカにする日本人は、新興国の若者の気持ちをわかっていない

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さて本当に日本人はシャオミをパクリiPhoneだとバカにします。たしかにその気持ちはぼくもアップルユーザーなのでわからないでもありません。

しかし現在台湾で生活しているぼくは、なぜ台湾人がシャオミを受け入れつつあるかもわかります。なぜならぼくは台湾人の友達たちの収入を知っているからです。

そもそもシャオミをパクリiPhoneだとバカにしている日本人は、台湾人20代の若者の平均月収が2万5,000元以下 (約8万~10万円くらい)だと知っていて、笑っているんでしょうか?

そう、台湾人の20代の若者には、1台約10万円もするアップルやサムスン、SONYのスマホは高過ぎるんです。

「パクリiPhone!」と日本在住で月収25万円くらいの日本人は笑っていますが、台湾人の平均月給で台湾に暮らせば、「スマホなんて使えればいいし、1万円で購入できる廉価 (れんか)版のRed miでいいか」という選択肢はすごくわかります。

女性はブランドイメージにこだわりますが、男性は性能にこだわる人が多いので、高品質低価格のシャオミは非常に魅力的なのです。シャオミ自身もこの20代、30代の新興国の中間所得の男性をターゲットに絞っているので、まさにこの戦略は当たっていると言って良いでしょう。

月給が10万円の台湾人でさえほしがっているんですから、中国やタイ、インド、フィリピンなど中途国の若者の月給は4万~6万円台です。なぜ中国の若者の心をつかんだのか、彼らの収入を考えれば理解できます。

そしてシャオミ製品はこの新興国の若者に向けて、ライフスタイルを変える提案をしています。

3万円のスマホでも憧れのiPhoneと同じ性能のモノを持てる。2千円のイヤフォンでも6千円以上のイヤフォンよりいい音が聴ける。アップルウォッチは買えないかもしれないけど、2千円でスマートウォッチの一部の機能を再現してくれる。

手が届かなかった先進国の暮らしに、自分を連れてってくれる中国企業シャオミ。

パクリiPhoneと言われようが、徹底的なユーザー目線で快適な生活を提案してくれるシャオミは、新興国の若者にとって自分たちの味方なのです。

まとめ 中国企業がバカにされるのは、日本企業がかつて通った道

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さて日本人がみると、パクリiPhoneをありがたがっている可哀想な人々という見方をする人がかなりいると思います。でも紹介してきたように、見方を変えればシャオミは20代、30代男性の救世主なんです。

先進国の人たちが使っている電化製品を、シャオミは格安で新興国の自分たちにも使わせてくれます。

もちろん台湾人女性はブランド信仰があるので、iPhoneやSONY、サムスン製品を愛用する人もたくさんいます。でも給料が少ない20代の台湾人男性の心をつかんでいるのは確かな事実です。

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ぼくの台湾人の友達エリック、29歳はこう言いました。

「シャオミは安くて良い製品を出してくれているよ。だからぼくは中国企業だけど好きだね」

自分たちの暮らしを便利に、豊かにしてくれるなら、どの国の製品でも構わない。そして素敵なライフスタイルを提案してくれるなら、いっそう良い。

そう、かつての日本製品もそうだったはずです。

SONY、パナソニック、トヨタ、ホンダなどの日本企業は、「安くて粗悪な日本製品」というイメージを、「安いけど品質のいい日本製品」という評判を勝ち取るため、1950年代から70年代までの高度経済成長期を必死に頑張ってきました。

また今でこそ日本にはグッドデザイン賞という品評会を開いていますが、元々の設立はこうでした。

1957年に通商産業省が「グッドデザイン商品選定制度」(通称Gマーク制度)を創設した。当時、日本企業による外国商品のデザイン盗用が外交問題となっていたため、デザインの創造を奨励することで、盗用の防止を図ったのである。

wikipedia 「グッドデザイン賞」より

歴史は繰り返されます。昭和の日本企業がゼネラルモーターズやフォード、フィリップスという欧米を追いやったなら、いま中国企業のシャオミがたどっている道はかつての日本企業と同じはずです。

たった5年で中国を席巻し、周辺新興国の若者の心を高品質低価格の製品でトリコにしようとしているシャオミ。

ぼくら日本人はただシャオミをパクリiPhoneと笑うのではなく、なぜ新興国で受け入れられているのか、現地人目線で理解する必要があるのではないでしょうか?

そう、今の日本企業はかつて日本企業が追いやった欧米企業のポジションにいるのです。欧米人が日本企業を笑えなくなったように、ぼくら日本人も中国企業を笑えなくなる日はもうすぐそこまで来ています。

ぼくも台湾で台湾人の友達たちに大切なことを教えられたと思いました。ぼくら日本人はおごることなく、謙虚に学ぶことで、もう一度日本企業のポジションを考えるべきだと感じてます。

本当にシャオミ、侮れませんよ。中国や台湾に遊びにきたらぜひシャオミストアに行ってみてください。

ではまた。

さっそく台北のシャオミストアに行ってきたレポートはこちらです。

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この記事を書いた人

職業HP制作業者、ライター、ブロガー。北海道札幌市在住。ブロガーやライターとして培ってきた取材インタビュー能力を活かし、お客様に自分達の商品・サービスが伝わるHP制作業を営んでいます。

過去に1年間のオーストラリアワーホリ、4年間の台湾在住、コロナ禍で帰国。神奈川県横浜市から北海道札幌市に移住し、暮らしています。

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